この詩集の中で、これがもっともロマンチックな詩だと思います。
突然の情熱よりも、運命的なものを信じているという詩で、その感性にVは近い気がします。情熱が突然盛り上がってくるというより、いくつもの暗示やサインがあったことを信じている。つまり、運命を信じている。彼のソロ曲『Christmas Tree』には「星のささやきのように歌っている」というフレーズがありますが、彼にとっての愛とはささやきであり、その成否は運命によって握られているのです。
Vは言葉で語り尽くせない不思議な魅力を持っている人です。彼は日ごろから表現が豊かな人なので、ファンたちは彼が発する言葉以上に、彼のちょっとした表情やしぐさの中から、彼独特のメッセージを受け取ろうとします。Vが次々と表情を変化させるたびにファンたちは心を揺さぶられ、そのかわいらしさに夢中になるのですが、一方で、彼が発する言葉以上に、彼が全身で表現する美しさに注目が集まるからこそ、その反作用で根拠のない誤解や悪意に晒(さら)されることも多々あります。
メンバーの比較で言えば、SUGAやRMは特に言葉を大切にしていて、インタビューなどでもできるだけわかりやすく正確な表現をすることに努めていますが、Vは言葉で正確に伝えようという意識はあまりなく、もっと自分の感覚のままを伝えようとします。言葉の意味作用だけでは必ずこぼれ落ちるものがあるので、それだけではどうしようもないことを知っているのでしょう。その意味で、Vは天然の詩人なのです。
言葉の抽象作用に関心のあるRMと、天然の詩人であるVのふたりがこの詩集に言及したのは、必然ではないでしょうか。
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