新章BTS、逆境でも揺るがないこれだけの理由 年下メンバー、華やかな笑顔の裏に秘めたもの

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JIMINは歌もダンスも稀有(けう)な才能の持ち主で、素晴らしい表現力の持ち主にも関わらず、性格的には案外控えめなところがあり、積極的に自分を押し出す感じがありません。この点はチング(親友)であるテテ(V)と好対照で、例えばInstagramの投稿の少なさひとつを取っても、メンバーの中で一番シャイな人だし、そもそも自分ひとりを売り出そうという気持ちが他のメンバーほどないのではないかという印象さえあります。

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JIMINはソロアーティストとしても計り知れない可能性を秘めている一方で、彼自身は自分よりも自分とまわりの人との「関係性」のほうを特に大切にしているように思えるのです。この吉野弘の詩には「私も あるとき 誰かのための虻だったろう あなたも あるとき 私のための風だったかもしれない」とありますが、彼が大切にしているのは、「互いに欠如を満たす」ことなど意識しないままに、自然な成り行きで生まれた他人との関係であり、そのような関係が途絶えてしまえばいまの自分というものがなくなってしまうことを一番真剣に考えている人だと思うのです。

彼はメンバー、そしてARMYとの関係性を深くとらえながら、いつもそれを自分の言葉にしようと努力しています。今年の「防弾会食」でも、ARMYに直接呼びかける形で、自分自身の言葉を届けようと目に見える努力をしていたのがJIMINではないでしょうか。ソロ活動をARMYに応援してもらうことに対する複雑な心境を正直に吐露しながら、理解してもらうのは難しいかもしれないけれど、理解してほしいという思いを深くにじませていました。

JIMINが作詞に参加した曲の中に、『Friends』というVとのユニットソングがあります。友だちと一緒にやることで、お互いの欠如が満たされ、光が放たれる。僕は関係性の中でこそ生かされる。その力を一番信じているメンバーがJIMINなのではないでしょうか。

V――暗喩で愛を伝えるロマンチスト

一目ぼれ
彼らは2人とも信じている。
突然の情熱が2人を結びつけたと。
そう確信できることは美しい。
けれども、少し疑えるともっと美しい。
 
彼らは確信する。
今まで一度も会ったことがなかったから
2人の間にはなにもなかったと。
ならば、通りで、階段で、廊下で
耳にした言葉はなんだったのだろう。
もしかしたら彼らは、数万回とすれ違っていたかもしれない。
 
彼らに尋ねてみたい。
ほんとうに覚えていないのですかと。
あの回転ドアで
顔を見合わせた瞬間を。
人ごみの中で「すみません」とつぶやいた声を。受話器越しに聞いた「おかけ間違いですよ」というぶっきらぼうな声を。
私はその答えを知っているけれど
彼らは、まったく覚えていないのだろう。
 
彼らはびっくりするだろう。
偶然がこんなにも何年にもわたって
彼らをもてあそんでいたことを知ったら。
2人の出会いが運命になるには
まだ準備ができていなくて
偶然は彼らを近づけたり、遠ざけたりしたのだろう。
彼らの行く手をさえぎったり
笑うのをこらえて
もっと遠くに遠ざけたりした。
 
たとえ2人が読み取れなかったとしても
たくさんの暗示やサインがあった。
おそらく3年前
あるいはこのあいだの火曜日
木の葉が1枚ひらりと
1人の肩からもう1人の肩へ
舞い落ちはしなかっただろうか。
誰かがなくしたものをほかの誰かが拾った。
誰にもわからない、もしかしたらそれは
幼いころ、茂みに消えたボールかもしれない。
 
ドアの取っ手や呼び鈴の前
1人が通りすぎていったばかりのその場所を
もう1人が通りすぎていったりもした。
あずけておいた旅行かばんが
隣り合わせになったこともあった。
ある夜、もしかしたら同じ夢を見て
ぼんやりとしたまま目覚めたかもしれない。
 
すべての時間は
結局は続きにすぎない。
運命の書が
いつだって途中のページから開かれているように。
――ヴィスワヴァ・シンボルスカ
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