BTSは今年6月にソロ活動に専念することを発表しましたが、RMが新たな方向へと向かう姿とニーチェの言葉が重なり、私にはあのTシャツの言葉が「これからはもっと図式化しながら詩作をやっていくんだ」という彼の意思表示にも感じられました。
メンバーの発言の裏側にあるもの
コロナ禍以降、メンバーもファンも念願だった、地元ソウルでの初の有観客コンサート。その最終日の最後のコメントという大事な場面で、「ARMYの皆さんに伝えたい言葉」として、本のタイトルが贈られたのだ(V本人は「一度も愛されたことがないかのように、愛しなさい」と、言い間違えてしまったようである)。
しかも、「お風呂で読んで寝落ちしちゃったんです」というエクスキューズがあったことで、自由奔放な言動が魅力で「四次元」というあだ名をもつVらしいエピソードとしてARMYのあいだで話題となった。
Vが引用しようとしたこの詩(詩集のタイトルにもなっているアルフレッド・D・スーザの詩「愛しなさい、一度も傷ついたことがないかのように」)には、「偶然との邂逅(かいこう)」というテーマがあると私は思います。
目的性に巻き込まれず、今を生きるというあり方ついて語っている。「一度も傷ついたことがないかのように」とは、過去の傷が足かせになると、今誰かを愛することができなくなるということ。過去や未来ではなく、今を生きる。Vはそれをくみ取ったうえで、伝えようとしたのだと思います。
確かにこの詩集は、BTSのメンバーが読んでいても不思議ではない内容です。なかには、それぞれのキャラクターと重なる部分が感じられる詩もあります。そこでこの詩集に親しむ一助になればと、メンバーに合う詩を選び、その読み解き方について次回解説します。
(構成:能井聡子)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら