米CDC「ワクチンより自然免疫が効果」デマの裏側 フェイクニュースが広がりやすい仕組みを解説

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それは、図2で「正しい情報だと思う」人が図1に比べて圧倒的に多く、「誤った情報・根拠不明情報だと思う」人はむしろ非常に少ないということである。

さらにこれを詳細に分析するため、フェイクニュース拡散行動について回帰分析をしたところ、フェイクニュースを「正しい情報だと思う」人は、「誤った情報・根拠不明情報だと思う」人に比べて、拡散確率が24.2ポイント高かった。拡散確率の平均値が21.8%であることを考えると、この数字がいかに大きいかわかる。

それだけでなく、「情報を正しく理解、解釈すること」をリテラシーというが、フェイクニュースを拡散する人は「メディアリテラシー」と「情報リテラシー」が顕著に低いということも明らかになったのである。

これらの事実は、誤った情報を信じている人やメディアリテラシー・情報リテラシーの低い人ほど、フェイクニュースを拡散しているということを示す。一方、訂正情報はなかなか広まらない。私たちが触れている情報環境というのは、そういった拡散メカニズムによってフェイクニュースが広まっていることを理解しなければならない。

フェイクニュース対策とは?

フェイクニュースは人間社会に昔からあったものだ。インターネットが普及した結果、その規模と拡散スピードが圧倒的に大きく・速くなった。

対策としてまず我々にできるのは、このように「フェイクニュースは広まりやすく、事実は広まりにくい」というバイアスの強い情報環境に身を置いているということを意識することだ。「自分はだまされない」などとおごらず、怒りや正義感を感じて自分が拡散したくなったときほど慎重になるべきである。

また、情報に出会ったときは、その情報源が何であるかや、他の情報源ではどのようにいわれているか確認することも大切だ。

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残念ながら、すべての情報にそれらをすることは困難かもしれない。しかし、最低限情報を拡散したくなったときは、それをすべきだろう。情報を拡散するというのは、責任が伴う行為だからである。

そして情報の真偽を検証した結果、よくわからなかったら拡散しない。1人ひとりがそれを守れば、フェイクニュースの拡散スピードは劇的に落ちるはずである。

山口 真一 国際大学グローバル・コミュニケーション・センター准教授

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やまぐち しんいち / Shinichi Yamaguchi

1986年生まれ。博士(経済学・慶應義塾大学)。2020年より現職。専門は計量経済学、ネットメディア論、情報経済論等。NHKや日本経済新聞などのメディアにも多数出演・掲載。主な著作に『ソーシャルメディア解体全書』(勁草書房)、『正義を振りかざす「極端な人」の正体』(光文社)等がある。KDDI Foundation Award貢献賞等を受賞。他に、東京大学客員連携研究員、早稲田大学ビジネススクール兼任講師、シエンプレ株式会社顧問、株式会社エコノミクスデザインシニアエコノミスト、総務省・厚労省の有識者会議委員等を務める。

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