「100%メロン飲料」騒動でバレた業界のヤバい裏側 果汁たった2%でしっかりメロン味になるワケ

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また、濃縮還元をすることで、「栄養価が落ちがち」というデメリットもあります。「食物繊維」が取り除かれ、「ビタミンC」や「ミネラル」が減少する傾向にあります。メーカーによっては、それを添加物で補っているところもあるようです。

ちなみに濃縮還元をしないジュースは「ストレートタイプ」と呼ばれます。

比較をするなら、果物や野菜そのものの風味や味が味わえるストレートタイプのほうがおいしいという意見は多いと思います。私もどっちかを選べというのなら、ストレートタイプを選びます。

ただ、ストレートにも「値段が高い」「品質が安定しない」といったデメリットはあります。

ジュースは、野菜や果物の代わりにはならない

とはいえ、私は別に「濃縮還元=✕」vs.「ストレート=◯」という短絡的な結論を述べたいのではありません

近年は加工技術が進んで、濃縮還元も質が良くなっているし、味も確実においしくなっていると思います。

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ただ私の意見とすれば、そんなに一生懸命にジュースを飲まなくても、生の野菜や果物を食べればそれで十分ではないかと思うのです。少なくともジュースは野菜や果物の代わりにはなりません

もちろん高齢者など、野菜がとれない事情があってジュースで補う必要がある人もいるでしょう。でもそうでなければ、ジュースはあくまで嗜好品。食事とは別に考えて、適度に飲むのがいいのではないかと私は思います。

そもそも、同じ果物や野菜でも、ジュースにすると「食物繊維」が損なわれてしまう傾向にあります

本当に「体にいいもので、栄養をとりたい」と思ったら、多少面倒でも、果物や野菜そのものでとってほしい、そう私は願っています。

安部 司 『食品の裏側』著者、一般社団法人 加工食品診断士協会 代表理事

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あべ つかさ / Tsukasa Abe

1951年、福岡県の農家に生まれる。山口大学文理学部化学科を卒業後、総合商社食品課に勤務する。退職後は、海外での食品の開発輸入や、無添加食品等の開発、伝統食品の復活に取り組んでいる。NPO熊本県有機農業研究会JAS判定員、経済産業省水質第一種公害防止管理者を務めつつ、食品製造関係工業所有権(特許)4件を取得。開発した商品は300品目以上。

2005年に上梓した『食品の裏側 みんな大好きな食品添加物』(東洋経済新報社)は、食品添加物の現状や食生活の危機を訴え、70万部を突破するベストセラーに。その他の著書に『食品の裏側2 実態編 やっぱり大好き食品添加物』(東洋経済新報社)などがある。

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