整理すると、日本人は「スペルと学校で習う発音はアメリカ式、カタカナ語はイギリス式」ということになります。英語の発音が苦手でカタカナっぽく話す日本人は「もしかしてイギリスの学校を出ている?」と思われるかもしれません。
ところで、このカタカナの英語についてカタカナの読める英語圏の外国人なら、かならずといっていいくらい不思議な経験をします。今言った通り耳で「ウオーター」「バター」と聞けばそれが水や乳製品のことであることは理解できます。しかし、カタカナの文字で見せられると、とたんに「はて?なんのことだ?」となってしまいます。一応日本語の50音の各文字の発音は理解できるのですが。
「見る」と「聞く」という、よく考えるとまったく違う行為なので、そのせいでしょうか。これはなかなか興味深い現象ですね。
カナダでも起きている英語の「ねじれ」
先ほど、日本人は「スペルはアメリカ式、発音は学校で習うのはアメリカ式、カタカナ語はイギリス式」と書きましたが、これは別に日本の英語がダメだというつもりはありません。じつはこうした「ねじれ」は英語圏の中にもあります。
最初に書いた通り私の母国カナダでは単語のスペルはイギリス式が主流です。しかし、発音に関していうとほぼアメリカ式の発音です。
どうしてそうなったのか、考えてみるとやはり話し言葉についてはテレビの影響が大きいようです。まず、17世紀頃イギリスから移民で渡ってきた比較的限られた人口の人たちが話す英語が、現在のアメリカ英語のベースになっています。
その後ラジオやTVが早くから普及しているアメリカでは同じ内容のTV番組が放送されています。これによって、あれだけ広い国土であるにもかかわらず、ほぼ方言のない英語が広く使われています。地続きのカナダでも当然その影響を受けたということでしょう。
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