「旧来型の戦闘」で冷笑されるロシア軍の瀬戸際 ウクライナと米欧の「連合国」体制が押し破るか

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8月24日のウクライナ独立記念日に合わせ、首都キーウに展示されたウクライナ軍戦車(写真・2022 Bloomberg Finance LP)

ロシアがウクライナへ侵攻を開始してから半年が経過した。ここに来て、ウクライナ戦争の戦局が大きく動き出した。

兵力・装備の不足などで継戦能力の減退が目立ってきたロシア軍に対し、主導権を握ったウクライナ軍は2022年8月29日、ついに地上部隊による本格的な反攻作戦に乗り出した。ロシアに3月から制圧されている南部ヘルソン州などの奪還を目指したものだ。

ウクライナのゼレンスキー政権がこの時期に反攻作戦に踏み切った背景には、今年冬までに大きな勝利を実現したうえで、優位な立場でロシアとの停戦交渉を模索するという短期決戦の戦略がある。

アメリカのバイデン政権もウクライナを強力に支えるため、2022年10月にも大規模な軍事援助体制を発足させる構えだ。これは、アメリカがウクライナと事実上の「連合国」体制を構築することを意味する。

一方、プーチン政権は2022年7月以降の苦戦を受け、戦争を2023年以降へと長期化させ、粘り勝ちを狙う戦略に転換した。しかし反攻作戦の開始を受け、一層受け身に立たされる形となった。

反攻作戦を始めたウクライナ軍

2022年8月末現在、ウクライナ軍は反攻作戦の内容について厳しい箝口令を敷いており、詳細は不明だ。それだけ重大な決意で臨んでいる作戦であることを物語る。ヘルソン州に加え、ザポロリージャ(ザポロジェ)州でも始まったとみられるが、反攻作戦がどこまでの領土奪還を狙ったものかは現時点でははっきりしない。

反攻作戦の時期をめぐっては、これまで2022年6月末説など、さまざまな臆測が流れていた。最近では「本格的な反攻を延期する」との情報が欧米メディアで流れ、延期説が広がっていた。このため、今回の反攻は一種のサプライズとなった。ウクライナ側の陽動作戦だったとみられる。

この間、ウクライナ軍は周到に反攻への準備を進めてきた。まず、ヘルソン州のドニエプル川西岸に配置されているロシア部隊を弱体化させるため、司令部、弾薬庫を集中的に砲撃した。

さらに、ヘルソンへの主要な物資供給の出発点である南方のクリミア半島からの補給路にも執拗に砲撃を加えた。中でも補給路の要所である、ドニエプル川に架かる4つの橋をアメリカが供与した高性能兵器である高機動ロケット砲ハイマースで叩いている。その後もロシア軍が橋を修理したり、浮き橋を作るたびに攻撃している。この結果、この補給路はほぼ断絶状態だ。

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