「仕事に専門性がない」と嘆く人に欠けた視点 『左ききのエレン』から学ぶ"あなたらしさ"
『左ききのエレン』(集英社)という漫画をご存じでしょうか?
漫画家のかっぴーさんが『cakes』に連載し、その後nifuniさんの絵によるリメイク版が『少年ジャンプ+』(集英社)で連載されました。わたしは広告代理店のクリエーティブディレクターから紹介されてこの漫画を読むようになりました。
非凡な才能を持つ山岸エレンと、平凡ながらも純粋でがむしゃらなエネルギーを持って生きる朝倉光一の2人を軸に展開していくこの作品には、人の抱える多様な葛藤が描かれていて、すぐに引き込まれていきました。そこにはクリエーティブやアート関係の職場でなくとも、自分自身の生き方や働き方の根本となる考え方に気づかされるシーンが満載だったのです。
まさにすべての人が読むべき現代の哲学書とも言える内容です。
「本気」と「やる気」はどう違う?
この『左ききのエレン』の根底に「本気」というキーワードがあるのではないかとわたしは感じています。
社会人で本気という言葉を知らない人はいないと思いますが、はたして日々の生活や仕事や人生で意識したり使ったりしているでしょうか? 本気で生きる、本気で働く、などあまりピンとこない概念ではないでしょうか? しかし、どこかでみな本気に憧れ、本気であることを願っているのではないでしょうか?
わたしが専門にするアスリートたちのメンタルトレーニングの中では、「本気」と「やる気」の違いなどを真剣に話し合います。やる気というのは条件や理由などの外発的な要因でエネルギーを生み出している状態です。
やる気を出すための何かが必要なので、やる気に偏った心の整え方はしばしば言い訳につながっていくことになります。ですから、やる気はとても不安定なのです。
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