「仕事に専門性がない」と嘆く人に欠けた視点 『左ききのエレン』から学ぶ"あなたらしさ"
その1つのあり方はスポーツドクターとしての産業医です。さまざまな業種のさまざまな人の安全と衛生という人間の生きる尊厳に関わるすべてに責任を持って対応しているという自負があります。
そこに共通してあるのは健康(Well-being)です。Well-being のスペシャリストはジェネラリストでもあるのです。もしかしたらスペシャリストになれなかった負け惜しみに聞こえるかもしれません。しかし、わたしの事例は一般的な通念としてのスペシャルではなく、自分しかできないジェネラリストを目指すわたしなりのスペシャルがあるという一例です。
それを気づかせてくれたのは、アメリカで「お元気で病院」を営むパッチ・アダムスの映画『パッチ・アダムス トゥルー・ストーリー』でした。患者のクオリティーオブライフ(QOL)をサポートするのが真の医者だという彼の言葉がわたしの心に響いたのです。
正直にいうと、それまでのわたしは、健康医学や産業医活動などをどこかでバカにしているところがありました。スペシャルな専門家こそがすごくてカッコいいと。今思えば、まるで光一のようなスペシャリスト至上主義だったのかと気づかされます。
自己肯定感よりも大事にしたいこと
広告や医療の世界に限らずほかの業種でもスペシャリストの重要性は決して否定できないと思います。が、一方で、ジェネラリストという発想のあり方、働き方も社会的ニーズがあるように思えてなりません。どのような働き方をこれから目指して生きていくのか? 正解はありませんが自問自答してみる価値があるのではないでしょうか。
多くの人が人と比較して、外的に定義されたスペシャリストを目指している。それは、どの人も「あなたらしい」スペシャルを有していることを忘れて焦っている証拠かもしれません。
わたしはその「あなたらしい」スペシャルのことを「自己存在感」と呼んでいます。他者と比べることで自分の特別性を持つのではなく、自分の中にあるものを見つけ、感じ、知ることで自分らしさを感じる、それがその人の無二のスペシャリティであり、「自己存在感」なのです。
自己存在感とは自分のスペシャリティに注目する感性のことです。自己の存在を意識できないと、他者との比較や評価の中で自己肯定感を高めないといけないという強迫観念で苦しむことになりかねません。
実際にパッチ・アダムスと出会う前のわたしは優秀な人たちの中で自分のスペシャリティを見つけられず苦しんでいたのだと思います。
他者と比べる必要のない「自己存在」というスペシャリティを感じる生き方と働き方をみなさんもしていきませんか?
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