能力より風土「若手が育つ組織」を作る簡単3秘訣 「挑戦できる組織風土」が、成長する会社にある

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仕事には、これまで「3つの報酬」があると言われてきた。

1つめは「金銭的報酬」で、2つめは「地位報酬」(ポスト)、3つめは、いい仕事をすれば、引き続きいい仕事、面白い仕事、自分のやりたい仕事が回ってくるという「仕事報酬」である。

そしていま、私たちは「4つめの報酬」として「感情報酬」を強く意識する必要がある。

【3】「感情報酬」で報いるカルチャーを築く

近年、若者を中心に「出世しなくてもいいので、プライベートな時間を大事にしたい」「お金よりも自分のやりたいことを大切にしたい」という社会人が増えている。

お金でも地位でも仕事でもなく、自らの感情が充たされることこそが最高の報酬であり、それがモチベーションとなり、励みになる。

「自分がワクワクする、幸せな気持ちになる」といった感情を充たすことが、これまで以上に重要になってきている。

そこで、人材ビジネス大手のある企業では、社員同士が感謝の気持ちを伝え、毎月ひとり数百円程度の少額のボーナスを送り合うことで「感情報酬」を充たす外部ツールを導入し、社員の活性化に取り組んでいる

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業容が拡大し、毎年100〜200名単位で新人や中途採用者が加入しているが、誰もが目の前の仕事で手一杯の状態であり、横のつながりが希薄になっていた。

そこで経営陣は本部全体でツールを導入し、「感謝」や「称賛」が飛び交う組織を目指した。いまでは気軽に「感謝を伝える」ことがきっかけとなって遠隔地の事業所同士の連携が深まり、連帯感も生まれている。

同社はツールに使われるのではなく、ツールを効果的に使いこなし、「感謝を伝える」ことをカルチャーにまで高めることを目指している。

「若手の育つ環境づくり」が会社を成長へ導く

これまで挙げた3つの例からわかるのは、日常の仕事を通じて、若手にチャンスを与え、育てようとする組織風土がなにより大切だということである。

「健全なカルチャー」に満ち溢れている会社は、若手も気軽にチャレンジできる風土があり、職場環境がよく、社員の承認欲求が充たされている

みんなで若手を育てようとする風土を醸成することが、組織全体の大きな成長へとつながっていくのである。

遠藤 功 シナ・コーポレーション代表取締役

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えんどう いさお / Isao Endo

早稲田大学商学部卒業。米国ボストンカレッジ経営学修士(MBA)。三菱電機、複数の外資系戦略コンサルティング会社を経て現職。2005年から2016年まで早稲田大学ビジネススクール教授を務めた。

2020年6月末にローランド・ベルガー日本法人会長を退任。7月より「無所属」の独立コンサルタントとして活動。多くの企業のアドバイザー、経営顧問を務め、次世代リーダー育成の企業研修にも携わっている。良品計画やSOMPOホールディングス等の社外取締役を務める。

『現場力を鍛える』『見える化』『現場論』『生きている会社、死んでいる会社』『戦略コンサルタント 仕事の本質と全技法』(以上、東洋経済新報社)などべストセラー著書多数。

 

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