脳のシワが多い人ほど「頭が良い」が誤解のワケ 脳研究者はいったいどうやって研究するのか

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「脳のシワが多い人ほど頭が良い」説は誤りのようです(写真:Hanna/PIXTA)
日常生活で多くの人は接することがない脳研究者という存在。まだ謎に包まれている部分が多い脳を、いったいどのように研究しているのでしょうか。脳研究者の毛内拡氏の著書『脳研究者の脳の中』から一部抜粋してお届けします。

そもそも脳ってなに?

私は脳の研究をしていますが、脳の研究方法にもいろいろあります。人間の脳を科学的に取り扱って研究するのは容易ではありませんので、私は哺乳動物であるマウスの脳にヒントを得ながら研究をしています。普段自分が用いている研究材料や研究方法を紹介しつつ、研究の現場のリアルな実態について知ってもらえればと思います。

脳は、みなさんも1つずつお持ちで、付き合いも長いと思いますが、ご自身の脳のことについてどのくらいご存じでしょうか。そう言われてみると、あまり脳のことを知らないで過ごしているなぁという方が多いのではないでしょうか。かく言う私も、まだまだわからないことばかりで、むしろ自分の脳がわからないからこそ研究者を志しましたし、ライフワークとして選択しました。

脳は、大体1300gくらいの脂っぽいかたまりで、頭蓋骨によって堅牢に守られています。さらに頭蓋骨の下では、硬膜、クモ膜、軟膜からなる髄膜によって保護されています。ゆで卵の薄皮のようなものを思い浮かべていただければよいでしょう。

心臓や腸などと違い、動きがないため外観からその働きを類推することは困難です。脳を取り出してみても中には液体が詰まっているばかりで、全く何をしているところなのかわかりません。事実、長い間、脳は単に血液を冷やすための器官だと思われてきたという歴史があります。心の働きの中心的な働きをする場所であると考えられ始めたのは、ほんの最近のことなのです。

さて、脳神経という言葉がありますが、脳と神経は何が違うのでしょうか。神経は、全身にくまなく張り巡らされている導線のようなもので、手足や目、鼻、口、耳などの五感からの情報を脳へと伝える役割を担っています。あるいは、脳からの情報を筋肉に伝えて筋肉を動かすのも神経の役割です。脳は、神経の情報を統合し、全身に指令を伝える司令塔のような働きをしています。

脳と神経を合わせて、神経系と言います。系というのは、システムと言い換えるとわかりやすいでしょうか。脳や、脳と全身のインターフェースである脊髄を合わせて中枢神経系と呼びます。

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