日本のコロナ対策が迷走ばかりで的を射ない原因 感染症法にとらわれる非科学で非謙虚な政策の数々

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うなだれるサラリーマンたち
政府の役割は、コロナ研究をリードし、国民を統制することではなく、国民をサポートすることだ(撮影:今井康一)

「コロナは普通の風邪だと思いますが、どうして、ここまで大騒ぎするのですか」

私の外来に通っている患者から質問された。患者は80代の男性で、胃がんで2回手術し、昨年、房室ブロックという不整脈のため、ペースメーカー挿入手術を受けた。高齢で持病を有するため、コロナに感染すれば重症化しやすい。ワクチンは4回の接種を済ませていた。

今夏、この患者が妻とともにコロナに感染した。アメリカのメルクが販売するコロナ治療薬モルヌピラビルを内服したものの、症状は軽く、自宅療養で治癒した。これが冒頭への発言へとつながる。

患者はダンスの愛好家だ。休日には夫婦そろって、同世代の友人たちとダンスを楽しむ。ダンス仲間にも、コロナに罹った人がいるが、皆、問題なく治癒している。コロナ感染のリスクをあおる専門家やメディアに不信感を抱いている。

患者は元銀行員で、海外勤務が長い。現在も海外メディアをフォローしており、「日本の対応は異様」と感じている。元金融マンだけに、世界経済には明るく、「このままでは、世界から日本が落伍していく」と日本の将来を憂えている。

日本の超過死亡はコロナ死者の6倍

私は、この患者の意見に賛成だ。マスク装着から水際対策まで、日本のコロナ対策は異様だ。マスクの感染予防率はせいぜい2割程度だし、国内でコロナが蔓延している中、水際対策を強化しても意味がない。分けても問題なのは、漫然と自粛を要請した結果、多数の「自粛関連死」が起こっていることだ。

3月10日、アメリカ・ワシントン大学の研究チームが、イギリス『ランセット』誌に発表した論文は興味深い。彼らは74カ国と地域を対象に、2020年1月から2021年12月までの超過死亡を推定した。

超過死亡とは、過去の死亡統計や高齢化の進行から予想される死亡者数と、実際の死亡者数を比較した数字だ。この研究で、日本の超過死亡数は11万1000人と推定され、確認されたコロナによる死者1万8400人の6.0倍だった。

この数字は、経済協力開発機構(OECD)加盟38カ国中で最高だった。わが国で、重症者のコロナ感染の見落としは考えにくく、長期にわたる自粛や高血圧や糖尿病などの持病を悪化させた高齢者が脳卒中や心筋梗塞を起こし亡くなっているのだろう。

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