1065人の自宅療養者を調査
第6波が収束に向かいつつあった2022年3月17~28日、自分もしくは同居家族が新型コロナウイルスに感染して自宅療養者となった方たちに対して、ウェブ調査を実施した。社会学者である筆者と、京都大学医学研究科の木下彩栄教授との共同研究である。
自宅療養が問題となった首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)と関西圏(大阪府、京都府、兵庫県)在住の15歳以上を対象とし、1065人(女性543人、男性522人)から有効回答をいただいた。自宅療養をした時期別に見ると、自宅療養が多数派になった第6波(2021年11月より)において、自宅療養を経験したケースがほぼ半数を占める。
自宅療養になった人の症状の程度を見ると、「軽症の呼吸器症状があった」(咳や痰があり、呼吸困難はない)人の割合が第5波、第6波ではそれぞれ37%、32%であり、陽性者は入院が基本だった第1波の15%や第2波の25%に比べて上昇している。軽症化したが、症状があっても自宅療養になる人は増加したといえる。
あくまで自己申告によるので医学的な定義とはずれるだろうが、ワクチン接種がまだ十分でなかった第4波では重症者の割合がかなり高い。大阪で自宅療養者の死亡が多発したのもこの時期だ(大阪府の統計では第4波の重症者の割合は全体の3.2%)。
一方、第5波では重症者は減ったが、中等症1(息苦しさがあり肺炎所見もある)と回答したのは8.5%だった。発熱について見ると、後の波になっても改善の傾向は見られず、第6波でも38度台の発熱があったのが38%、39度台が31%にのぼり、40度以上も7%である。いくら自宅療養が当たり前になったとはいえ、「ただの風邪」になったと楽観するのは禁物だ。
では密室の家族内では何が起きているのだろうか。
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