コロナ対応の医療従事者に英国の「冷たい仕打ち」 「コロナ特別病欠規定」の廃止で減給や解雇も

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コロナ感染でも補償がない? イギリスのコロナ対応にあたる現地の看護師の訴えとは――(写真:Plyushkin/PIXTA)

2022年2月に「コロナと共に生きる」政策をジョンソン首相が打ち出して以来、イギリスではさまざまなコロナ対策が解除され(前回の記事を参照)、コロナをインフルエンザと同様に扱うようになった。

そして、ついにコロナ感染症で病欠となった医療従事者への「コロナ特別病欠規定」までもが廃止された。これにより、今後は医療従事者がコロナ感染で病欠をとった場合、通常の「NHS(国民保険サービス)病欠規定」が適用され、病欠の日数や回数により懲戒処分を受けたり、給与がカットされたりする可能性が出てきた。

医療従事者への唯一の経済的な補償

特別規定では、コロナ後遺症で病欠中の医療従事者は、病欠日数が長引いても懲戒処分が免除され、無期限の給与の全額支払いが約束されていた。これが、コロナ感染をして長期病欠を取らざるをえない医療従事者への、唯一の経済的な補償でもあった。

「コロナと共に生きる」政策で、ジョンソン首相は「今までコロナ感染対策とその負担は、国の責任として背負ってきた。しかし今後は国民一人ひとりで責任を持って対応をするべきだ」と述べた。コロナ感染者に体を張って対応をする医療従事者の、唯一の金銭的補償まで取り上げる政策は、現場の医療従事者には信じがたいものがある。

しかも、日本同様にイギリスでもBA.5変異株の感染拡大が始まり、6月から再び感染率や入院感染者数が激増しているのだ。

特に筆者が衝撃を受けたのは、「医療従事者が“いかなる経路”でコロナ感染したとしても、通常の病欠規定が適用される」という点だ。

コロナ病棟やコロナICU(集中治療室)、救急外来などで勤務中に感染する、いわば「労災」ともいえる感染で休んでも、人事の記録には単なる「病欠」と記され、前述したような処分に直面をする可能性がある。

思えば、イギリスの医療従事者は国の厳しい財政状態の影響をもろに受けてきた。

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