絶好調「ノースフェイス」立役者が挑む意外な難題 改めて問われる「ゴールドウインらしさ」とは?

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以来、コンセプトが異なるショップを周辺エリアに出店し、「街とともにブランドが成長してきた」と渡辺さん。その思いを含めて作ったのが、今回の「ザ・ノース・フェイス スフィア」であり、土地を購入してゼロからビルを作った(地下1階、地上6階の約391平方メートル)。

最初の原宿のショップ出店から40年近くを経て、「僕らが街をもっと楽しくするためには何ができるだろうと考え、皆がつながって、未来の楽しさや自然と触れるすばらしさなどについて、共有して楽しむ場を作ろうと思いました」(渡辺さん)。

ビル全体を「樹木」に見立て、地下の根っこから屋上に向けて枝葉が広がっていくイメージで建築も中身も作り上げた。こじんまりとした建物だが、自然素材をふんだんに使い、高い天井や吹き抜けがしつらえてあり、狭さを感じさせない。

自分だけのオーダーメイドができるコーナーや、アウトドアアクティビティをサポートするコンシェルジュサービスをはじめ、ワークショップやトークショーに使えるスペースもあり、対話やつながりがここから生まれていったら楽しいと想像が広がる。

渡辺さんは、仕事の話になると止まらない。新しいものを生み出し、受け止めてもらうことが大好きと伝わってくる。ともすると、儲けや利益は後回しのようにさえ見える。

そこを突っ込んだところ「利益はもちろん重視しています。会社や社員が成長したという指標の1つが利益ですから、ゴールドウインがやっていることが社会に受けいれられれば、自ずと利益はついてくる。社会と企業のつながりを評価する物差しの1つが利益なのです」と返ってきた。少し優等生っぽいと思いながらも、考えと実績が一致していると腑に落ちた。

社内外からの抵抗をどう乗り越えた?

企業の中で、新しいことや面白いことをやろうとすると、「成功する保証がないしリスクが高い」「儲からないに違いない」とブレーキをかけられることは少なくない。前述したようにザ・ノース・フェイスの直営店を展開するときも社内外からの抵抗にあっている。

渡辺さんはどうやってそれを乗り越えてきたのか。

「面白いことを思いつくと、怖さよりも楽しさのほうが勝っちゃうケースが多いですね。」(渡辺さん)

そしてその楽しさは、必ず人とつながっている。

「面白いことを考えている人のそばにいくと、自分の身体と心が振動してくるのがわかります。この人と仕事したら楽しいに違いないと想像するとワクワクしてくる。そういうことを繰り返してきたのが僕の仕事と言えるのかもしれません

自分が感じた面白さがきちんと伝われば、お客さんも面白くなってきて、買ってみよう、やってみようになると思うのです」(渡辺さん)

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