絶好調「ノースフェイス」立役者が挑む意外な難題 改めて問われる「ゴールドウインらしさ」とは?

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さまざまなベンチャー企業に出資し、共同開発や研究をやっていくことを視野に入れ、この4月には、運営規模30億円のベンチャーキャピタル「GOLDWIN PLAY EARTH FUND」を立ち上げた。

「アパレル」「子どもの未来の可能性」「環境」という3つの領域において、未来に向けた可能性のある企業を育てていくことを目的としているが、ここから生まれ出る知見を、ゴールドウインでも取り入れていくことを視野に入れている。6月には産直通販サイト「食べチョク」を運営するビビッドガーデンに出資した。

創業した富山に広大な公園を作るワケ

未来に向けて「PLAY EARTH PARK」というプロジェクトも進めている。これは、未来を担う子どもたちが、地球の持っているテクノロジーに触れることも含め、自然とのかかわりを感じてもらう場を作ることを目的に立ち上げたもの。ゴールドウインの生地である富山県に約10万坪の土地を取得し、そこで広大な公園を作っていくという。

「PLAY EARTH」とはまさに地球と遊ぶこと。「自然科学の中で、生命体としての大事な役割は、次世代の生物の役に立つことととらえていて、2050年に30歳になる子どもたちのために、どんな世界や社会を実現していったらいいのかを考え、ゴールドウインの創業の地である富山で作ることにしたのです」(渡辺さん)

雄大な自然に直に触れられる公園で、作り込んだものというより、ありのままを生かしたガーデン、広々としたキャンプ場、さまざまなアスレチックが体験できる場などを設けるとともに、サマースクールやアウトドアツアー、周辺の国立公園を巡るツアーなど、バラエティ豊かなコンテンツを提供していく。

これは会社が向かう方向を社内外に向けて発信していく活動であり、「ゴールドウインを一丁目一番地のブランドにする」という意気込みが伝わってくるプロジェクトだ。さまざまな領域に及ぶ渡辺さんの話には、未来への夢や希望が充ちていて、聞いていて楽しくなる。ぜひ、実現してほしいと強く思う。

一方で、時代の大きな流れが向かっている方向だけに、無数の競合相手がいる。アウトドアやスポーツブランドも伸ばしてきているし、いわゆるラグジュアリーブランドの数々も、同じ方向に向けた戦略を次々と打ち出している。そういう中にあって、渡辺流の“やりきる”が完遂されていくのかどうかが問われてもいる。

川島 蓉子 ジャーナリスト

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かわしま ようこ / Yoko Kawashima

1961年新潟市生まれ。早稲田大学商学部卒業、文化服装学院マーチャンダイジング科修了後、伊藤忠ファッションシステム入社。同社取締役、ifs未来研究所所長などを歴任し、2021年退社。著書に『TSUTAYAの謎』『社長、そのデザインでは売れません!』(日経BP社)、『ビームス戦略』(PHP研究所)、『伊勢丹な人々』(日本経済新聞社)、『すいません、ほぼ日の経営。』『アパレルに未来はある』(日経BP社)、『未来のブランドのつくり方』(ポプラ社)など。1年365日、毎朝、午前3時起床で原稿を書く暮らしを20年来続けている。

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