そして、2037年には、15.96%、17.59%、17.80%となって、医療・福祉が卸売・小売を抜き、就業者数で見て、日本最大の産業となる。
2040年では、16.0%、17.9%、18.8%となり、医療・福祉は、製造業よりかなり規模の大きな産業となる。
医療・福祉以外の産業は、就業者数で見て減少を続ける。したがって、ごく少数の例外を除いて、今後は量的な拡大を期待することができない。成長を前提とした経営戦略は成り立たないのだ。マイナス成長のビジネスモデルを確立する必要があるだろう。
低い賃金で、必要な介護人材を確保できるか?
厚生労働省「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」(介護従事者等の平均給与額の状況、月給・常勤の者、職種別)によれば、介護職員の2020年2月の給与は、31万5850円だ。
2019年2月の30万0120円に比べれば5.2%の増であり、これは、経済全体の賃金上昇率よりは高い。しかし、水準は著しく低いと言わざるをえない。
しかも、介護従事者の労働条件は厳しい。コロナ禍で、その深刻さが改めて浮き彫りになった。
これは、有効求人倍率が高いことにも現れている。
こうしたことを考慮すると、将来必要とされる介護人材を果たして確保できるのかどうかに、大きな疑問が生じる。
今後予想される介護人材のひっ迫は、大量の移民を認めない限り解決できないだろう。日本社会がそうした問題に直面しているという意識を持ち、外国人労働者の本格導入を認めることが必要だ。
しかし、そうしたとしても、必要な人数の外国人労働者が日本に来るかどうかは、定かではない。日本の平均賃金が海外に比べて相対的に低下しているので、将来を楽観できない。日本の国際的地位の低下が続けば、海外からの介護人材に頼ることは難しくなるだろう。
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