間寛平「人に頼って甘えてきた73歳のこれから」 吉本新喜劇GM就任と今後の人生を語る【後編】
一方、「乞食を三日すれば忘れられぬ」って言葉がありますけど、芸人になって舞台に立つと街で声をかけられたり、ちやほやされるわけです。それがうれしいからやめられない。だけどそれだけで向上心や野心がない。なんで芸人やってるの?っていう子も実際いるんです。いまはそういう子が増えていると感じます。
セカンドシアターという出られる場所を作って4カ月ほどですが、若手の目つきがすごく変わってきました。僕らが新喜劇に出ていた時代は、わけのわからない芸人がたくさんいました。いまのコンプライアンス社会ではできないようなことばかりしてて(笑)。そういう芸人がいまほとんどいない。だから、彼らには思いっきりやれっていってます。そうしないとなにも生まれないから。
養成所が主流になったことの弊害
――若手の育成はいまのお笑い界全体の課題でもあるように感じます。
いまの新喜劇は44~45歳で若手ですけど、それではダメ。僕らが入った頃は、横山やすし・西川きよしさんとか20代前半の大スターがたくさんいました。昔といまの違いは、師匠に弟子入りする徒弟制度のようなものがなくなってしまったことでしょう。僕らは師匠に怒られてどつきまわされながら、日々の生活のなかで笑いを学んできました。
でもいまは芸能事務所が運営する養成所から出てくる芸人がほとんど。そこで基本は学ぶものの、自分たちの笑いを自分たちで考えないといけないから、先輩がもう一回水をやって育てていかないといけないところがあります。
また、養成所はビジネスとして人をどんどん入れては卒業させていくから、新喜劇にしても新人が膨らむいっぽうで出番は減っていく。そうすると舞台に立てないから笑いをわかっていかない。そういうおかしなことが起きています。
だから僕は新喜劇に出られない若い子たちをセカンドシアターや営業へ振り分けて、とにかくステージに立たせています。そこから早くスターを生み出さないといけない。じゃないと引退できないから(笑)。
――そういう時代に若手からスターを生み出すにはなにが必要ですか?
やっぱり運が大きいんじゃないですか。実力どうのこうのより、運があったら突き抜ける不思議な時代ですから。でも、芸人になった以上はだれもが一度は売れたいと思っています。一発屋と言われる芸人もいますけど、それさえもすごいこと。みんな一生懸命がんばっています。
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