間寛平「人に頼って甘えてきた73歳のこれから」 吉本新喜劇GM就任と今後の人生を語る【後編】

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――寛平さんのこの先のビジョンを教えてください。新喜劇のGMはいつまでにどうすることがゴールですか?

来年くらいまでと思っています。GMに就任して6カ月、いまのところ順調にやってきています。でも、もっともっと20代を引き上げていかないといけない。いま考えているのは、20代の子を後任のGMに起用すること。これからの20代ががんばっていかないと新喜劇はつぶれてしまいますから。僕は今年を目いっぱいやって、来年の10月10日の芸能生活54周年で引退したい。

最近のいい流れもあって、テレビで大活躍中の若手人気芸人が新喜劇に出たいと言ってきているんです。その子たちが出れば、またひとつ波を起こせる。そういう新喜劇を盛り返そうとする勢いがいまきています。それを新喜劇全体を動かす大きなものにしないといけないと思っています。

芸人を引退してからやりたいことも

――引退を視野に入れながらもいまなお第一線で活躍されています。70歳からの生き方はどう考えていますか?

自分のなかでは仕事のほかにやりたいことがあるんですけど、新喜劇のGMを頼まれて延期しました。これがなにかはまだ言えないんです。でも、芸人を引退してから次に新たにはじめたいことが夢としてあります。それをできている人は世の中にたくさんいますけど、僕にとってはアースマラソンより大変なことだと感じています。

あと、100歳になってフルマラソンに出ることを目標にしてて。タイムは関係なく、とにかく完走しないといけないってずっと自分に言い聞かせています。

僕は昔から走っていたんですけど、きっかけは借金取りがくるから。うめだ花月の舞台が終わると裏口から逃げて、次の出番まで2~3時間ずっと扇町公園を走って、また裏から入ってステージに立って。なんばグランド花月では、裏口から劇場を出て堺の大和川まで走って逃げて。すごい距離ですよ(笑)。

借金の支払日に金がないから払えないって電話するときも家だと嫁に聞かれるから、山奥のバス停の公衆電話まで駆け上がるのが日課みたいになっていましたし。そんなことをずっとやってきたから、走ることがめっちゃ強くなって。それが仕事の強みにもなっています(笑)。

――引退されたら仕事は終わりになりますか?

生きることそのものがもう仕事ですね。これからも夫婦で仲良く生活していければ、嫁を旅行に連れて行くのも僕の仕事だと思います。そうやって生きていきます。

武井 保之 ライター

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たけい・やすゆき / Takei Yasuyuki

日本およびハリウッドの映画シーン、動画配信サービスの動向など映像メディアとコンテンツのトレンドを主に執筆。エンタテインメントビジネスのほか、映画、テレビドラマ、バラエティ、お笑い、音楽などに関するスタッフ、演者への取材・執筆も行う。韓国ドラマ・映画・K-POPなど韓国コンテンツにも注目している。音楽ビジネス週刊誌、芸能ニュースWEBメディア、米映画専門紙日本版WEBメディア、通信ネットワーク系専門誌などの編集者を経て、フリーランスとして活動中。

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