手頃な価格のものが増えたのも、普及した要因のひとつだろう。そもそもウォールステッカーは、およそ10年前、主にパリでブームとなり、その頃から日本にも少しずつ輸入されるようになったのだが、輸入品は数千円から1万円以上するので、当初は消費者が手に取りやすいアイテムとは言いがたかった。しかし、種類が増えるにつれてだいぶリーズナブルになった。たとえば誰もが知っているところでいうと、イケアでは1000円前後、ニトリだと500円前後を中心に売られている。
ウォールステッカーブームが盛り上がる中で、ついに100均業界も動き出した。セリアでは、2013年春にシールタイプ4種類、店舗を限定して販売を開始したという。非常に売れ行きがよく、在庫切れを起こす店舗も出たため、取り扱い店舗数を拡大。翌年春からは20柄と種類も大幅に増やした。
さらに季節商品などをPRする全店の什器コーナーで、「手軽にできる壁周りのインテリア」として全面的にプッシュ。結果、定番の人気商品へと育っていったという。
巻き起こる、空前の壁デコブーム
メインの購買層は、30~40代の子持ち女性。2013年はエッフェル塔や不思議の国のアリス、2014年は鳥かごや植物などのナチュラルな柄が人気だったという。季節ごとに貼り替える人もいるので、昨年からはハロウィンやクリスマスなどイベント時に使える柄も投入し始めた。
店舗によって在庫は異なるが、現在は約30種類もの取り扱いがある。今年に入ってからは、スイッチカバー周り専用の「スイッチデコステッカー」の動きもよいそうだ。
同社広報担当の松田陽子氏は、次のように話す。「ここ数年、壁周りを自分らしくデコレーションするトレンドが高まっています。以前のインテリアでは置くタイプのオーナメントが人気の中心でしたが、2~3年前から壁に取り付けられる木製飾り棚がよく売れるようになってきました。ウォールステッカーは、そういった壁周りの装飾品とも相性がいい」。
確かに今、「壁デコ」がブームだ。新顔も続々と登場している。たとえば、マスキングテープの製造販売を手掛けるカモ井加工紙は、壁デコなどを想定したインテリア向け商品として、幅広タイプの「mt CASA」を発売。輸入壁紙専門店のワルパも、自分で貼って剥がせる壁紙をウリにし、話題を呼んでいる。
こうした背景の中、とりわけ初心者でも扱いやすいゆえにウォールステッカーは人気を呼んでおり、100円という価格も相まって同社でも大ヒットとなったのだろう。
しかし、決してタイミングと価格だけで売れたわけではない。インテリア商品はデザインが命。いくら100円でも、ダサいと思われたらまず売れない。しかし、ご覧のとおり、100円とは思えないデザインばかりだ。
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