ライブの前に会場近く軽く酒を飲んだが、どのお店もモトリー・クルーモードで、BGMがガンガンかかっていた。
会場は、アラフォー男女で満員。ソールドアウトではなかったが、びっしり入っている印象だった。そして徹頭徹尾、完璧なロックンロールサーカスだった。演出も派手。セクシーダンサーも曲によって登場するのだが、毎回、衣装が変わっていた。
すぐに客席に向けられるマイク
率直に、現在のモトリー・クルーは演奏がうまいバンドかどうかでいうと、そうでもない(失礼!)。はっきり言ってボーカルのヴィンス・ニールは声が出ていなかったし、うまいかどうかでいうと、そうでもない。しかも、太っていた(申し訳ない)。盛り上げるためと、自分が歌えないがゆえにすぐに客席にマイクを振っていた。ただ、ある意味、司会者、MCのようなボーカルとしていい味を出していた。
外タレの大御所バンドの来日公演というのは、別に全盛期の最高の演奏、パフォーマンスを求めているわけではなく、「うまい」のではなく「よい」「かっこよい」のほうが重要で、そして思い出も含めて時間を分かちあうことに価値があるのだろう。
最後に、会場真ん中の空中に浮くステージで演奏されたバラードナンバー“Home Sweet Home”の時には、ああ、これで終わりかと、ジワッときた。しかも最後のSE(SOUND EFFECT)はフランク・シナトラの“My Way”だ。この曲をバックに自分たちも会場を出たのだが、青春が終わったように思った。
ここまで読んでいただいたあなたに、感謝したい。ウザいアラフォー男子のメタル談義に付き合っていただいて。1万3000円のチケット代は若いファンには酷だったろう。だから、若い人はあまりいなかった。ただ、決して全盛期ほど上手いわけでもない、でも、かっこいいパフォーマンスを楽しみつつ、アラフォー男女で同窓会的な盛り上がりをする。そんな夜だった。いや、ベテランの来日公演はこんなものなのだ。
新曲不要論!?
さて、「新曲不要論」だ。彼らはこのフェアウェルツアーに合わせて、“ALL BAD THINGS”という新曲を発表していた。来日公演の告知映像には、この曲と、米国でのライブの様子が流れていた。
しかし、この曲は演奏されなかった。演奏された最も新しい曲は2008年に出た現在のところ最後のオリジナルアルバムである“Saints Of Los Angeles”から2曲だけで、ほかは1991年までに発表された曲ばかりだった。1990年代の彼らはメンバーチェンジなどがあったということもあるのだが、見事に1990年くらいで時間が止まっているとも言える。
もちろん、ひとつの事例ですべてを語るつもりはない。このライブは、フェアウェルツアーなので、ベストヒット的な選曲になっていると言える。ただ、一昨年(2013年)、東京ドームでポール・マッカトニーを見た時も、新曲は数曲だったし、その時間は英国でナイトの称号を与えられた大御所ポールといえ、みんなのトイレタイム、ビールおかわりタイムになっていたのが印象的だった。
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