「高額紙幣の廃止」で犯罪撲滅を図った国の末路 インドと北朝鮮がやらかした壮大な経済失策

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比較的高額な紙幣に対してもっと大胆な行動をとった場合には、すさまじい混乱が生じることがある。

2016年、インド政府は「グレーマネー」を表に駆り出すことを目的として、流通している紙幣のうち最も高額な2つ──五百インドルピー(7.5ドル)と千インドルピー(15ドル)──の通用を廃止した。当時、この2つの紙幣が現金通貨の86%を占めていたが、実際には残りの14%を占める小額紙幣が、日常的な仕事の大半を担っていた。

その年の11月8日、ナレンドラ・モディ首相は、この厄介者の紙幣を午前零時──すなわち、わずか4時間後──に使用禁止にすることをテレビの生放送で発表し、国中を震撼させた。通用が廃止された紙幣を銀行で新紙幣に交換するために数週間の猶予が与えられたが、新紙幣の印刷は間に合っていなかった。

結果として貨幣危機が発生し、何千万ものインド人が、現金がない状態に陥るか、あるいはすこしの現金を手に入れるために毎日何時間も列に並ぶはめになった。事態が落ち着くまでには数週間を要し、GDPにもかなりの悪影響が及んだ。

その間、インドで通貨の代替品として好まれている金の価格は、20~30%上昇した。この施策の最終的な成功は、きわめて限定的なものであった。

グレーマネーは撲滅できたのか?

紙幣の追放の根拠となった考えは、現金の出所を正当化できる人々だけが旧紙幣を新紙幣に交換することになるので、グレーマネーの保有者の手元には無価値の紙幣だけが残るはずだ、というものであった。

しかし2年にわたる徹底した会計検査の後、インド準備銀行は、廃止された紙幣の実に99.3%が、追放されることなく銀行システムに戻ってきたと報告した。グレーマネーはモディが想定していたよりもすくなかったのか、あるいはインドのマネーロンダリングのしくみは、紙幣を追放するしくみよりも有能なのであろう。

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