そして、北朝鮮である。この「隠者の王国」の政府がポジティブな国内向けニュースを流すことに特化している一方で、同国にまつわるネガティブなニュースを伝えることに力を注ぐ海外勢力もある。
どちらのニュースも慎重に受け止める必要があるが、それでもなお、同国の直近の通貨切り下げに関する報道を見る限り北朝鮮が悲惨な状況にあることはまちがいない。
突然の北朝鮮ウォンの切り下げ
現在の最高指導者の父、金正日は、2009年11月、北朝鮮ウォンの切り下げを突然命じた。政府はただちに紙幣からゼロを2つ切り落とし、旧紙幣を法定通貨からはずし、新紙幣に交換できる旧紙幣の量を制限した。
これによって巨額の貯蓄が失われただけでなく、新紙幣が流通する1週間前に旧紙幣が引き揚げられたため、その間、経済の大部分が停止するにいたった。この動きは、窮地に陥ったウォンを強化するどころか、政府が発行する貨幣に対する国民の信頼を失わせ、人々が外貨の保有に殺到するという事態を引き起こした。結果としてめったに起きない国内の反乱が生じ、1ドル30ウォンから約8500ウォンへと通貨が劇的に暴落した。
2013年には、同国の215億ドルの経済圏のなかで推定20億ドルのアメリカドル紙幣が流通していた。アンクル・サム〔アメリカ〕にとっては好都合だが、金一家にとってはそうでもない。
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