「音読」を甘く見る人が知らない驚きのメリット コミュニケーション能力や非認知力もアップ!?

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音読をする少年
子どもたちの脳の活性化に最適なのは「音読」です(写真:msv/PIXTA)
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文章を声に出して読む「音読」は、小学校の宿題の定番です。ご家庭でも、「毎日子どもの音読につきあうのは、ちょっと大変」などと思われているかもしれませんね。
音読は脳のさまざまな部位を活性化すると言われ、幼児からシニアまで、さまざまな世代に向けた「音読本」が市場をにぎわしています。
長く幼児教育や保育学に携わり、子どもたちのすこやかな育ちへの支援に力を注いでおり、『頭のいい子を育てる 名作おんどく366』を上梓したばかりの汐見稔幸先生に、音読の意義や効果、日々の生活の中へのじょうずなとり入れ方などについて伺いました。

黙読の習慣は比較的最近できた

明治初期の思想家、堺利彦の日記に、ある日父親が『南総里見八犬伝』を借りてきて、近所の子どもたちを集めて、朗々と読んでくれたというエピソードが出てきます。樋口一葉の日記にも、母親が本を読んでくれるのを聞くのが大好きだったという話があります。

新聞も、町の中にステーションがあり、そこに立った誰かが、みんなの前で読み聞かせていました。当時はそれがふつうの本の読み方でした。

本というのは、活版印刷の発明以後に一般に広まった、いわば新しいメディアです。『グーテンベルクの銀河系』という、活字文化を考察する有名な著作の中で、著者マーシャル・マクルーハンは、「黙って本を読んでいる人がいると、みんなが珍しがって見に来て、長蛇の列ができた」と書いています。

言葉は文字の前に存在していました。キリストや釈迦や孔子、ソクラテスも、彼らが語ったことを弟子たちがまとめています。聖書や経典、論語、ソクラテスの対話など、世界各地で最も読まれている書物は、実は自分で書いたものではないのです。

言葉は相手の魂に火をともすためのもの。どういう伝え方をするかによって受け止め方も変化しますが、文字にはそうした作用はありません。

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