「音読」を甘く見る人が知らない驚きのメリット コミュニケーション能力や非認知力もアップ!?

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日本語は、世界的に見ても音の種類の少ない言語です。そのため「雨」と「飴」、「橋」と「箸」など、かなで表記すると同じになる同音異義語が多く、だからこそダジャレもたくさん成立します。

また、日本には「忌み言葉」など、縁起の悪い言葉を声として発するのを避ける風習があります。かつての人は、いまよりもずっと、音が持つ言語作用を大事にしていたと思います。

音読の効果
(画像:『頭のいい子を育てる 名作おんどく366』)

音読では、文章を声に出して人に語り、さらにそれを自分の耳で聞いて、目から入った情報と合算して修正する作業が必要になります。視覚と聴覚の情報処理の方法は異なります。その両方を働かせることで、黙読にくらべて、脳の活動ははるかに活発になります。

黙読には早く情報を手に入れられるという側面があり、忙しい現代人には重宝しますが、言葉がもつ意味の多面性は、黙読では半減してしまいます。

コミュニケーション能力も養うことができる

また、音読の大きなメリットはもうひとつあります。それは読む人と語る人が同じ気持ちになって、その作品の世界を共有できることです。ひとつの作品をともに味わうことで、徐々に感情が結ばれあい、同じ世界に生きている感覚が生まれます。

これは本来の意味での「コミュニケーション」が起きているということです。コミュニケーションの語源はラテン語の「コミュニス(共有、共通)」です。

幼児期に絵本などの読み聞かせをする家庭は多いのですが、音読は学校の宿題というイメージが強いので、日常的にとり入れている家庭はそれほど多くないかもしれません。

しかし、相手にきちんと伝わるように、読み方を工夫し、自覚的に語る音読は、コミュニケーション能力を育てます。気持ちの通じ合うコミュニケーションができることは、将来社会に出たときに活躍できる土台となります。

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