対馬に残る伝説の地 和多都美神社
山幸彦(やまのさちひこ)が釣り針を探しに行った海の宮。この場所は、海の中にあるとしか示されていない。
玄界灘に位置する長崎県の対馬の和多都美神社は、社伝によると海の神・豊玉彦尊(とよたまひこのみこと=ワタツミのこと)がこの地に宮を作り、「海宮(わたつみのみや)」と名付けたという。境内には大きな磐座があり、トヨタマビメの墳墓と伝えられている。日向とは異なった神話の景色が広がる。
海の神の宮とされる和多都美神社は、神の宿る岩・磐座への信仰が色濃く残っている。トヨタマビメの墳墓だけでなく、鱗のような模様の岩「磯良恵比須(いそらえびす)」が、これまた珍しい三柱鳥居の間に祀られており、「いろこの宮」の片鱗ではないかと思われる。
鳥居をくぐり、神聖な場所である境内へと入っていく。本殿正面の5つの鳥居のうち、2つが海中に立っていた。船で海からお参りするのが本来の姿だったのだろう。しかし、海へと続く鳥居を見ていると、海中から神が現れてくる通り道のようにも感じられる。
潮の満ち引きによって、鳥居や「磯良恵比須」のあたりの景色が一日のうちに大きく変わっていく。見たい姿があるなら、潮位を調べてからがおすすめだ。
南北に細長い対馬の、ちょうど真ん中あたりにはトヨタマビメを祀る海神神社がある。海神は「かいじん」と読むが、「わたつみ」と呼ばれることも多い。社殿は、山全体を神域とする伊豆山の中腹にある。息を切らしながら登り、後ろを振り返るとけっこう急な石段だったことに気がついた。
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