「個人主義的な自由」を追求すると逃げていく幸福 時間を人と共有することの計り知れない効用

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個人主義的な行動が自由で幸せとは限らない(写真:metamorworks/PIXTA)
個人主義的な傾向は、コロナ禍でますます加速している。一見、自由で、人付き合いのわずらわしさが減り、仕事においても効率的だと感じるが、そのぶん失っているものとは何か? 本当の自由とは何なのか? 生き方の本質を問う全米ベストセラー『限りある時間の使い方』の著者、オリバー・バークマン氏による考察をお届けする。

時間をシェアすると豊かになれる

僕たちを悩ませる大きな問題は、人との付き合いだ。せっかく自分の時間を確保していても、他人はいつだって、ありとあらゆる手段を使って僕たちの時間を奪おうとする。

生産性のアドバイスはたいてい、時間の使い方をすべて自分で決められることが前提になっている。

「柔軟なスケジュールと平均的なリソースを持つ人は、柔軟なスケジュール以外のすべてを持つ金持ちよりも幸せになれる」と、漫画家であり自己啓発本著者のスコット・アダムスは言う。「幸せになるための最初のステップは、自分のスケジュールをコントロールできるように継続的に努力することだ」

自分でスケジュールを立てて、どこでも好きな場所で働き、自由に休暇をとり、誰にも負い目なく気ままに過ごす。まあ、それは理想的な世界かもしれない。とはいえ、そこまで時間を自由に使おうとすると、大きな代償を支払うことになるのも事実だ。

2013年、スウェーデンのウプサラ大学のテリー・ハーティグ教授らが、休暇のパターンと幸福度の相関を調べる調査をおこなった。スウェーデン人の休暇データと抗うつ剤の処方量のデータを比較したところ、一般に仕事を休むと幸せになる(抗うつ剤の平均的な処方量が減る)ことがわかった。それ自体はとくに目新しい発見ではない。

注目すべきはもうひとつの発見だ。抗うつ剤の減少幅は、ある時点でどれだけ多くのスウェーデン人が休暇をとっていたか、つまり同時に休暇をとる人の数に比例することがわかった。みんなが同じタイミングで休暇をとったほうが、みんな幸せになるということだ。

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