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東芝の「現役社員」たちが明かす社内のリアル 経営の混乱には「もう慣れている」との声も

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進路が定まらず揺れ動く東芝。そうした中で働く社員たちが現在の状況を明け透けに語る。

2015年7月、不適切会計問題で会見を行う東芝の経営陣(撮影:尾形文繁)

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経営混乱が続く中でも東芝が各事業を継続できているのは、現場の社員たちの存在によるところが大きい。そうした社員の目には、経営陣や社内の現状がどう映っているのか。本音を聞いた(個別取材を基に座談会形式で構成)。

Aさん:20代男性 
Bさん:20代女性 
Cさん:30代男性 
Dさん:50代男性 

「混乱にはもう慣れている」

――会社分割案を出したり非公開化を検討したりと、東芝の経営方針はめまぐるしく変わっています。社内はどのような雰囲気ですか。

A 僕はまだ入社して2年程度なので詳しくないのですが、てんやわんやしている様子はありません。

会社分割案が検討されていたころに、「分割されたら社名はどうなるんだろうね」と言っていた程度。なにしろ不正会計が発覚したのは入社前の7年前。で、それから経営混乱がずっと続いていますから。先輩たちはみんな「もう慣れている」と言っています。

B 私も若手なので、経営に関する話は直接は聞こえてきませんが、40~50代の部長クラスの人たちは情報交換しているみたいですね。6月の株主総会後、「総会の話をしようや」と飲み会を開いていましたし。

50代後半の人たちは、「東芝機械ココム違反事件」(旧ソ連に工作機械を輸出し1980年代後半に政治問題化)でも経営危機を経験していますから、「20~30年周期で会社が潰れそうになる波が来る」と言っています。

C 自分も30代やし、さすがにココム事件は知らへん(笑)。機器販売で海外赴任をした経験を踏まえて言わしてもらうと、非公開化は海外事業にマイナス影響が出る気がしますなぁ。

東芝は海外での知名度がそこまで高くないから、現地スタッフの雇用でもライバル企業に負けてたんよ。非公開化でさらにブランド力が弱まるのと違いますか。

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