株主総会が終了し、無事に新体制発足とはいかなかった。再任を承認されたばかりの社外取締役が、「取締役会が一体となって進むためには自身が退任することが望ましい」と、総会後に辞任を申し出たからだ。
12人中6人がファンド推薦者――。
一抹の不安を残しつつも、東芝の取締役会は6月28日の定時株主総会を経て、新たな経営メンバーでの船出となった。
総会の最大の注目は、大株主であるファンドから推薦された社外取締役候補が選任されるかにあった。その候補とは、ファラロン・キャピタル・マネジメントの今井英次郎氏と、エリオット・マネジメントのナビール・バンジー氏の2人だ。
総会の前、社外取締役の綿引万里子氏が「取締役会メンバー構成の多様性やバランスを欠く」と、両氏を候補とすることに反対を表明。総会でも出席株主から、「(ファラロンやエリオットの)保有株が多いのであれば、取締役の独立性に欠ける。逆に10%も保有していないのであれば、取締役として迎える必要はあるのか」と、疑問の声が飛んだ。
役員選任議案はすべて可決されたが……
それでも会社提案の13人全員が賛成多数で選任され、総会は幕を閉じた。
議決権行使の結果を見ると、最も賛成率が低かったのは綿引氏だ。目立つのは棄権票の多さで、今井氏らファンド推薦の新任2人や、彼らを選んだ指名委員長のレイモンド・ゼイジ氏より賛成率が低くなっている。
ところが、無事に新経営陣発足とはいかなかった。
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