東芝にちらつく経産省の影 ガバナンスを取り戻せるか

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外為法を盾に株主へ不当な圧力をかけていた経産省。だが、責任を負う意識は低い。

東芝の調査報告書は、経産省との親密な関係を明らかにした(撮影:今井康一)

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英投資ファンドからの買収提案と車谷暢昭社長の電撃的な辞任から2カ月。落ち着きを取り戻したかに見えた東芝を再び激しい嵐が襲っている。

昨年7月に開催された定時株主総会をめぐり、東芝が株主提案などを妨害したとされる問題で、会社法に基づく調査報告書が6月10日に公表された。

報告書は、東芝の幹部と経済産業省幹部との生々しいやり取りを明らかにした。東芝幹部が、エフィッシモ・キャピタル・マネージメントなどの大株主を「モノ言う株主(アクティビスト)」と見なし、その排除のために昨年5月に改正された外為法(外国為替及び外国貿易法)を利用しようとしたと指摘。

さらに、株主提案をさせないようエフィッシモに働きかけたり、東芝が有利になるように、経産省と一緒になってほかの大株主の議決権行使に影響を与えようとした。結果、東芝の株主の権利が制限され、株主総会が公平に運営されなかったと、報告書は結論づけた。

報告書を受けた東芝は14日、25日開催の株主総会で会社側の社外取締役候補である太田順司、山内卓両氏の再任案を取り下げた。さらに、豊原正恭副社長、加茂正治上席常務の退任も決めた。

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