異なる立場・意見の株主が増えた結果、東芝は経営の方向性を見失った。
2022年3月25日午前。東芝グループ全社員の手元に一通のメールが届いた。タイトルは「昨日の臨時株主総会の結果について」。差出人は島田太郎社長本人だった。
「今回の結果の大切なポイントは、われわれの株主の意見が大きく分かれていることが、株主自身にも明快にわかったことです」。メールの本文にはそう記されていた。島田社長の偽らざる思いだろう。
この一文には東芝の状況がよく表れている。経営陣はこれまで株主たちの意見に振り回されてきた。しかも、異なる立場の株主が異なる意見を持っていることから、経営の方向性がまったく定まらなくなってしまった。
現在、東芝は株式の非公開化を含めた戦略を検討している。その狙いも、「株主のせいで何も決まらないこの状況を解消するため」(ファンド関係者)との見方がもっぱらだ。
両議案否決の異常事態
そんな東芝の状況が最もわかりやすい形で表れたのが、冒頭の島田社長のメールにあった2022年3月の臨時株主総会だった。
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