東芝の再建がじわり前進、一難去ってまた一難 非公開化に向けて銀行団の融資承認が下りたが

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東芝の看板
非公開化を進める東芝。まだまだハードルが待ち構えている(撮影:今井康一)

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長らく停滞していた東芝の再建が、ようやく一歩前進した。日本産業パートナーズ(JIP)が主導する買収案に対し、銀行団が融資を認めたからだ。

JIPが東芝の買収に対して優先交渉権を得たのは2022年の10月。買収金額は約2兆円とされ、そのうち約1兆円はオリックスやロームをはじめとする約20社が出資し、残りを銀行から融資してもらう計画となっていた。

ところが、この融資に関する交渉は難航を極めた。

大きな壁となっていたのは金額の問題だ。現在の東芝の状況や将来の収益見通しを踏まえた融資の規模が大きく、「行内で想定している与信上限を上回っている金融機関もあった」(銀行関係者)。そのため、誰がどれだけの融資を引き受けるのか、銀行団では金額の配分をめぐってさまざまなやり取りが続けられてきた。

JIPの調整力不足を指摘する声も

最終的には、東芝のメインバンクである三井住友銀行とみずほ銀行が大部分を負担する形で折り合うことになった。

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