東芝の非公開化に立ちはだかる「資金集め」の壁 銀行団は東芝社長の「島田ビジョン」に懐疑的

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東芝の非公開化に向けた交渉が難航している。銀行団からの融資が決まらず、決着は2023年度に持ち越しになる可能性が高まった。

東芝
JIPによる東芝再建策に必要な融資について、金融機関は判断に迷っている(編集部撮影)

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「融資を判断するうえでの材料が不足している」。 あるメガバンクの幹部は、東芝の経営再編に話題がおよぶと苦虫をかみ潰したような表情を浮かべた。

東芝は2022年4月、株式の非公開化を含めた経営再建案を公募した。公式に発表はされていないものの、10月に優先交渉権を得たのが日本産業パートナーズ(JIP)率いる企業連合だ。連合に入る企業名や資金調達の可否など、さまざまな報道が現在飛び交っている。

JIPは日系のプライベートエクイティ(PE)ファンド。日立国際電気や日立建機の買収に参加したことでも知られている。JIPは当初、官民ファンドの産業革新投資機構(JIC)と組む形で1次提案をしていたが、2次提案では連合を解消。それぞれ独自に動く格好となった。

先延ばしされた融資判断

JIP案で想定されている東芝の買収金額は2.2兆〜2.4兆円とみられる。そのうち1兆円はJIPと組む企業連合が出資し、残りは3メガバンクを中心とする銀行団から融資を受ける計画だ。11月7日までに銀行からの融資証明(コミットメントレター)を得て、JIP案が正式に提出される予定だった。

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