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「成長性通信簿」東芝に残されたビジネスを診断 各事業の成長性を「優」「良」「可」「不可」で採点

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安定したビジネスが多く、現在残っている事業はすべて黒字。ただ、こうした事業も成長性という観点から見れば話は別だ。

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周囲からは経営危機とか再建とか言われるが、正直ピンとこない――。東芝の中堅社員はそんな本音を吐露する。

それもそのはず。彼のいるエネルギー部門の主要顧客は電力会社。設備の更新とメンテナンスの需要が中心で、極めて安定したビジネスだからだ。

この中堅社員によれば、エネルギー部門は経営危機が騒がれ始めてからも、ビジネス上はなんら影響を受けていないという。「経営危機といっても、それはあくまで経営と株主の話」(中堅社員)と、まるでひとごとだ。

確かに東芝の経営自体は危機に瀕して漂流しているものの、意外なことに業績は悪くない。2022年3月期の決算は増収増益であり、事業部別の利益を見ても現在残っている事業はすべて黒字となっている。

ただ、こうした事業も成長性という観点から見れば話は別だ。伸びしろがあるビジネスは決して多くないからだ。

成長性のある事業とは

東海東京調査センターの石野雅彦シニアアナリストは、「東芝の成長はほぼ半導体が担っている」と指摘したうえで、「成長性を3つの層に分けて考えるとわかりやすい」と語る。

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