リスクや危機に対処できる「優れた経営者」の手法 「スタンフォード大学発」未来洞察のアプローチ

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

①カタリスト=触媒してくれる人

カタリストとは、あなたに洞察、気づき、あるいは刺激を与えてくれる人のことだ。彼らと接することで視野が広がり、一見すると自身のビジネスとは直接関係のないような出来事やトレンドに目を向けることができる。

②コネクター=つないでくれる人

カタリストはどこにいるのか。良い縁結びを促す人がいて、初めて意外な人との出会いが促される。コネクターとは、他者への引き合わせを通じて、あなたのアイデアや行動を促進してくれる人のことである。

③イネーブラー=実現してくれる人

イネーブラーとは、アイデアの実現に向けて直接的な行動をとってくれる人のことだ。せっかく未来洞察からアイデアが得られたとしても、それが実現できなければ意味がない。組織において権限をもって資源を動かせる人の協力が不可欠なのである。

④プロモーター=周知してくれる人

プロモーターとは、他のネットワークにあなたのアイデアやあなた自身を広く売り込んでくれる人のことだ。顧客や社外のパートナーの協力が必要なオープンイノベーションでは特に重要な役割を果たす。

追い詰められたときこそ、視野を広げる

人間は追い詰められるほど、近視眼的にもなり、創造的な解決策を見つけられなくなる。四六時中、喫緊の課題に悩まされ、そればかりに向き合っていると、探索の範囲が狭められてしまう。その段階で考えうる「答え」に縛られ、それに関連するトレンドしか探さなくなる。

しかし、そんなときにこそ視野を広げる必要がある。「触発する人」や「つなぐ人」との交流が活発になれば、これまで見えなかった出来事やトレンドが見えるようになる。大切でなかったものが、大切に思えるようになる。

ヤヌスコーンを描くにあたって、すべてを自分で調べ、描こうとしてはならない。蛇の道は蛇、その道の専門家に聞いて、簡便な方法で複数のトレンドを描き出せばよい。まず自分のビジネスにかかわる出来事から、次に、視野を広げてほしい。より遠い未来に備えることができるはずだ。

線としてのトレンドが見えてくれば、それらの線が相互に影響を及ぼし合う可能性も評価できる。複数の流れが1つに収束していくようなトレンドは見逃してはならない。大きな流れを意識することで、未来についての洞察ができるようになる。

井上 達彦 早稲田大学商学学術院教授

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

いのうえ たつひこ / Tatsuhiko Inoue

1968年兵庫県生まれ。92年横浜国立大学経営学部卒業、97年神戸大学大学院経営学研究科博士課程修了、博士(経営学)取得。広島大学社会人大学院マネジメント専攻助教授などを経て、2008年より現職。経済産業研究所(RIETI)ファカルティフェロー、ペンシルベニア大学ウォートンスクール・シニアフェロー、早稲田大学産学官研究推進センター副センター長・インキュベーション推進室長などを歴任。「起業家養成講座Ⅱ」「ビジネスモデル・デザイン」などを担当。主な著書に『ゼロからつくるビジネスモデル』(東洋経済新報社)、『模倣の経営学』『ブラックスワンの経営学』(日経BP社)などがある。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事