リスクや危機に対処できる「優れた経営者」の手法 「スタンフォード大学発」未来洞察のアプローチ
これに対して優れた経営者は、能動的な姿勢でリスクマネジメントを行う。変化の先取りをするか、何かあったときにすぐに即応できるようにして、事前に準備するわけだ。ここではそのための3つのポイントを紹介する。
①定点観測を行う
優れた経営者は、自身の事業にかかわりのある出来事についての定点観察を行っている。ポイントを定めることで「変化」が見えやすくなるし、事情がよくわかっているから見誤らない。彼らは変化そのものではなく、その背後にある重大なトレンドを読み取ろうとする。
②自身の感覚とのギャップ
優れた経営者は、自身の感覚とのギャップを大切にしている。「なぜ若者たちは購買意欲が低いのか」「なぜ、これほどまでに従業員を大切にする社会風潮に変化していったのか」といった素朴な疑問が、重要なトレンドを探り当てるきっかけとなる。何に注目すればよいかがわかれば、具体的なイベントを拾い出すことができるからだ。
③イベントとイベントを線で結ぶ
最後に、優れた経営者はある出来事と別の出来事とを線で結ぶ。「気づき」と「気づき」を線で結べばトレンドが浮き彫りになる。健康への関心の高まりでいえば、2005年のメタボ基準の制定、2014年の健康経営銘柄の登場、そして、2015年の大手広告代理店での過労死を線で結ぶということだ。
無関係に思える出来事でも、何か大切なトレンドを象徴している可能性がある。そして、複数のトレンドの交わりやぶつかり、相乗効果や相反関係を評価する。
トレンドをつかむための4つのアクター
卓越した経営者は、一般のビジネスパーソンが注目しないような出来事にも注目する。それはささいな出来事かもしれないし、業務とは一見直接関係ないような出来事かもしれない。現在のビジネスの枠を一歩超えて視野を広げ、潜在的に重要なトレンドを見定め、環境の変化に備えるのである。
どのようにすれば、潜在的に重要なトレンドを見極めることができるのか。スタンフォード大学の未来洞察のプログラムでは、視野を広げてイノベーションを生み出すための社会ネットワークを築くように促す。大切なのは次の4つのアクターである。
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