トランプの登場で蓋が開いてしまった「パンドラの匣」 果たして最後に"希望"は残っているのか

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トランプが開けてしまった「パンドラの匣」に最後に残るものとは(写真:loseyourself/PIXTA)
さまざまな場面で物議を醸す一方、一部の人がこれまで公然とは言えなかったことを代弁している、という見方もあるトランプ流の政治手法について、ジャーナリストの増田ユリヤ氏は「世界が潜在的に抱えていた『パンドラの匣』を開けてしまったのかもしれない」と評します。
では果たして、その「パンドラの匣」の中には最後に何が残るのでしょうか――。増田氏が同じくジャーナリストの池上彰氏と語り合います。
※本稿は、池上彰氏と増田ユリヤ氏の共著『池上彰と増田ユリヤのYouTube学園特別授業 ドナルド・トランプ全解説: 世界をかき回すトランプ氏が次に考えていること』から、一部を抜粋・編集してお届けします。

私たちの未来はどこへ向かうのか

増田ユリヤ(以下、増田) アメリカにおける「トランプ現象」に呼応するかのように、世界は今、「自国第一主義」の波に覆われつつあります。ドイツ、フランス、イタリア、ハンガリーといったヨーロッパ諸国、さらにはラテンアメリカ諸国でも、いわゆる「極右」と呼ばれる政党が台頭してきています。

背景には大衆が支えるポピュリズムがあるといわれます。これからの世界、そして私たちの未来は、どのような方向へ進んでいくのか考えましょう。

池上彰(以下、池上) トランプが初めて当選した2016年ごろから、「ポピュリズム」「リバタリアン(自由至上主義)」といった言葉がメディアで頻繁に取り上げられるようになりました。あれから10年近く経った今も、それらの影響力は衰えるどころか、むしろ世界の潮流の1つとして根付いてきているように思います。

増田 こうした概念は、トランプ現象とどのように結びついているのか、ですが。

池上 ポピュリズムとは本来、「大衆の声を代弁する政治姿勢」を意味しますが、実際には「エリートや既得権層への反発」を前面に出し、「自分こそが国民の本音を代表する」と主張する政治手法として用いられています。トランプは、まさにその典型と言えます。

彼はワシントンの政治家や大企業、既存メディアを「腐敗したエリート」と断じ、「自分は普通のアメリカ人の味方だ」とアピールしました。こうしたシンプルで感情に訴えるメッセージが、多くの有権者に響いたのです。

増田 「リバタリアン」は、「政府の介入は最小限にすべき」「個人の自由を最大限に尊重すべき」とする思想を持つ人々ですよね。税金や規制を嫌い、「自分のことは自分で決めたい」という考え方が根底にあり、アメリカでは根強い支持を受けています。

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