永守重信氏「順風満帆な人生は伸びていない証」 人生や経営が安泰ムードになったら警戒すべし

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あきらめずに、すぐやる、必ずやる、出来るまでやることを徹底できれば、必ず人生はひらけてくるものです。そのことは、私の人生が証明しています。もし、あなたが自分の力を出し切って、人生を切りひらきたいと思っているのなら、一度騙されたと思って、私のやり方を実践してほしいと思います。

成功は「真似る」ことから始まる

では、具体的にどうやって実践していけばいいのかといえば、まずは「真似る」ことから始めてください。成功のための原理原則というものは、何もないところから降って湧いてくるような類のものではなく、先人のやり方を真似て学んだ先にしか存在しないからです。

私は新入社員の研修では、次のようなことを必ず伝えるようにしています。

「最初の1年間は月給泥棒でいい。儲けてくれとは言わないから、真似て学ぶことを徹底してほしい。先輩のことをよく観察して、仕事のできる人とそうでない人は何が違うのか、しっかりと見極めて、仕事のできる人のやり方を真似るようにしてください」

真似る際は、真似る対象も選ばなければなりません。失敗ばかりしている人を真似ても成功を手繰り寄せることはできないのは明らかでしょう。成功している人を真似るからこそ、成功に一歩近づけるのです。

世の中には、真似ることを悪いことだと思う人がいるようですが、とんでもないことです。真似るのは決して悪いことではありません。国でも個人でも最初は何かを真似ることで成長するものなのです。誰もが先人の真似をしてきたからこそ、今日の人類の発展があるわけです。だから、私は毎年、新入社員には「堂々と真似てください。盗んでください」と伝えています。

私も若い頃は、オムロン創業者の立石一真さんをはじめとした諸先輩方を真似て学びながら、自分の原理原則を確立してきました。立石さんのところに「今、こういう課題を抱えているのです」と経営についての教えを乞いに伺うと、「私もそんなことがあったよ」とおっしゃるので、「どうやって解決されたのですか」と聞くのですが、決まって「それは言えない」という答えが返ってきたものです。

それでも、はっきりとは教えてくれないのですが、ああでもない、こうでもないと話し続けていると、会話の中にヒントのようなものが出てくるのです。あるいは、立石さんの表情から「そのやり方はよくないから、もう一度考え直したほうがいい」というメッセージを読み取ることができることもありました。

それで、自分なりにもう一度考え直して実行したあとに、「こうやって解決しました」と報告に行くと、「それは正しいやり方だ」と教えてもらえるわけです。

次ページただ真似るのではなく、自分の頭で考えながら真似る
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