「若者の非婚化」を後押しする日本の絶望未来 実は「晩婚化」なんて起きていないという衝撃

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とはいえ、20代半ばで将来の結婚相手に出会うといっても、ここ2年半の若者にとってはコロナ禍で、大学生であれば同級生とも直接会うことも許されず、サークル活動もできず、ひたすら自宅でリモート授業を受け続ける毎日では恋愛相手どころか友達すら出会えていません。

新社会人にしても同様で、2年以上同期と飲みに行ったことすらない人も多いでしょう。

若者にとってこの20代前半の時期は、たとえ将来結婚する相手ではなかったとしても、人と出会い、恋愛し、時には失恋し、傷つき、そして恋愛経験値を積んでまた違う誰かと出会うという貴重な時期でした。

それは中高年の大人たちの2年とは比較にならないほど密度の濃い2年間だったはずです。ある意味これは、若者に対する強力な「恋愛ロックダウン」政策だと思います。

出会いの機会を大人が奪った

これの何が深刻かというと、婚姻の半数を占める20代での結婚カップルが今後激減する可能性があるということです。結婚に至る出会いの機会を政府や大人たちが奪ったのだから当然です。

冒頭の話に戻ると、少子化とは婚姻数の減少の影響が大きく、婚姻数が1つ減れば自動的に子どもの数は1.5人ずつ減ります。ただでさえ、婚姻減の実態は晩婚化などではなく、若者の非婚化にあります。

加えて、『「不本意未婚」結婚したいのにできない若者の真実』の記事でも書いた通り、2015~2019年においては、結婚したいと希望する20~34歳の若者の6割しかそれが実現できていないという現状があります。そこには、若者、特に男性側の給料や雇用に絡む経済的不安要素も大きい。

お見合いやと職場結婚という社会的お膳立てシステムの消滅によって、出会いの機会も減っているうえに、今回の「恋愛ロックダウン」という仕打ちをしておいて、やれ「若者の恋愛離れ」で「デート離れ」だなどと勝手なことを言う。若者にしてみれば「これでどうしろというんだ?」と言いたくもなるでしょう。

この「恋愛ロックダウン」による影響は、これからの3~4年後の大幅な婚姻減と出生減として顕在化するかもしれません。

荒川 和久 独身研究家、コラムニスト

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あらかわ かずひさ / Kazuhisa Arakawa

ソロ社会および独身男女の行動や消費を研究する独身生活者研究の第一人者として、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌・Webメディアなどに多数出演。著書に『「居場所がない」人たち』(小学館新書)、『知らないとヤバい ソロ社会マーケティングの本質』(ぱる出版)、『「一人で生きる」が当たり前になる社会』(ディスカヴァー携書)(ディスカヴァー携書)、『結婚滅亡』(あさ出版)、『ソロエコノミーの襲来』(ワニブックスPLUS新書)、『超ソロ社会』(PHP新書)、がある。

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