一方、最も営業利益を稼いでいるのは「駅ビル不動産」で、167億円の黒字となっています。
主力の運輸事業は、それほど儲かっていないどころか、むしろ大きな赤字だということです。その分を、不動産業が支えているという構図です。
そもそも経営安定基金は、国から預かったおカネ
さらにもう一つ注意したい点があります。再び損益計算書に戻りますと、営業利益は90億円しか稼いでいないにもかかわらず、経常利益は212億円まで膨らんでいますね。一体、何が経常利益を押し上げているのでしょうか。
答えは、「経営安定基金運用収益」の120億円です。この「経営安定基金」とは何でしょうか。かつて、JRが分割民営化された時に、JR北海道、九州、四国のいわゆる「3島会社」に関しては、鉄道事業で利益が出ないだろうと考えられていました。
そこで、国は経営安定基金というものを設け、3島会社に交付しました。「このおカネを運用した利益で、鉄道事業の赤字を補填し、それらの地域の鉄道事業を維持てください」ということです。ただし、これは元々税金だと言うことを忘れてはなりません。北海道、九州、四国の鉄道事業を守るために、国民のおカネを供出し、その「運用益」を使わせているというものなのです。
貸借対照表の「純資産の部」(9ページ)に、「経営安定基金」が3877億円計上されています。この運用益にあたるのは、損益計算書の「経営安定基金収益」が120億円ですから、大体3.1%で「回している」ことになりますね。
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