JR九州は、このままでは上場できない

3877億円の「税金」を懐に入れていいのか

ここでJR会社法が改正されて「取り崩しを認めますよ」ということになれば、JR北海道や四国でも、「利益が出ないから取り崩します」と言えることになってしまいます。

上場するなら、基金は国に返すべき

JR九州は、実力で上場するのであれば、全く問題はないと思います。ただ、先ほども説明しましたように、売上高営業利益率が2.5%しかないわけですから、上場会社としてはそれほど魅力がありません。そこでJR九州は、基金をもらってしまうことで、収益力を高め、政府に入る上場益を稼ごうと考えたのではないでしょうか。

しかし、それは繰り返しますように、国全体のバランスシートを考えますと、国のおカネ3877億円を取り崩して上場益が出ても、取り崩さずに上場益を稼げなくても、結局、同じことなのですが、それなら、当初考えられている上場益に加えて基金分以上の上場益のかさ上げがなければ、国民は損をすることになりますし、元々は九州以外の人も含めた全国民のおカネですから、そもそもそんなことをして良いのかという議論が必要です。

財務省は、本当は基金を国庫に返して欲しいと考えていましたが、今は国交省との間で「基金を取り崩せば、企業価値が高くなって、上場益を上げることができる」との考えが一致したとのことです。しかし、私は、おかしいのではないかと思います。

そこで私が提案したいのは、基金を「永久劣後債」に変えるということです。永久劣後債とは、社債の一種で、会社が倒産した時に債務の支払い順位が他の債務より低い債券のことです。資本の一部に組み入れることができます。

そして、これに0.5%でも1%でも金利をつけるのです。こうすれば、国民の資産を民営化する企業になし崩し的に譲渡されることなく、金利で国民に還元することができます。国民から預かっているおカネなのですから、国民に還元することを考えるべきです。

本来なら、基金の運用益は、九州地方のローカル線の整備に充てられ続けてきたわけです。これが新幹線整備に回ってしまうことも懸念しなくてはいけません。それによって、新たな利権が生まれるかもしれないという点も、注意すべきでしょう。

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