緊急事態宣言が出た「サル痘」今の重要論点3つ ウイルスに残る謎、ワクチンや薬も不足

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第3の論点は、薬の治療効果だ。

FDAは2018年に、天然痘治療薬「テコビリマット(TPOXX)」を動物実験のデータに基づいて承認したが、ヒトへの使用については限られたデータしかない。

供給は問題なく、アメリカは170万回分を備蓄している。ただ、実際の処方は困難で、そのため感染者数が増加している中でも、どういった患者にどの程度効くのかは明確にはわかっていない。

テコビリマットは具体的にサル痘の治療薬として承認されていないため、「治験薬プロトコル」という面倒な手続きを通さなければ処方できない。同手続きにより最近まで医師は、詳細な報告書や患者が自ら病状を記録する日誌、病斑の写真をCDCに送るよう義務付けられていた。

こうしたハードルの高さから、多くのクリニックではテコビリマットはまったく提供されておらず、資金力の豊富な医療機関の医師でさえ、1日に2〜3人の患者を治療するのがやっとという状況だった。

治療開始まで2週間待たされる現実

ネフィ・ニブン・ストグナーさん(39)はサル痘を発症したことから7月8日に助けを求めた。耐え難い痛みに襲われ、テコビリマットを処方してもらおうとしたが、ほかにもっと重症で必要性の高い患者がいると告げられた。

隔離されて薬を待っている間にも、新たに背中に3つの病斑が現れた。「刑期が延長されていくような感覚」だったと言う。テコビリマットの1回目の投与をようやく受けられたのは、7月21日。投与から24時間以内に「赤く膨らんでいた病斑は平らな黒い点に変わった」。

こうした治療の遅れを受けて、CDCはテコビリマットの使用ルールを緩和。今では必要な外来診察の回数、サンプル、書類の数は減らされ、医師はオンライン診察も許されるようになっている。

(執筆:Apoorva Mandavilli記者)

(C)2022 The New York Times 

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