忘れた頃にやってくる大人の「水疱瘡」の恐怖 一度かかったらウイルスは体に潜み続ける

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予防接種を受けたことがある人も少なくないでしょう(写真:masa / PIXTA)

読者の皆さんの中には、小さい頃に水疱瘡(みずぼうそう)にかかったことのある方は少なくないでしょう。

筆者は歯科医師としての知見や経験を基に、歯や口周りの情報を「ムシバラボ」というサイトで発信していますが、その中で紹介していることの1つが、子どもの頃の水疱瘡が原因で、大人になってからひどい痛みを伴う病気に発展する「帯状疱疹」です。お口の中や顔周辺に症状が出ることも多い病気です。いわゆる口唇ヘルペスとは似て非なる病気でもあります。

いったん水疱瘡にかかると、ウイルスは体の中にとどまって、脊髄の神経節にひっそりと潜んでいます。二度と症状が出ない場合もありますが、疲れたり、体力が落ちたりした時などに神経節から神経をつたって皮膚や粘膜など、全身どこにでもでてくることがあります。

何十年もの間、体内に潜んでいた水痘・帯状疱疹ウイルスが復活するきっかけになるのは、一体どのようなことなのでしょうか。一般的にいくつかの原因が挙げられています。

・大きなストレス
・極度の過労
・重い病気や手術
・免疫抑制薬の使用
・過度の日焼け

帯状疱疹だけに限らず、このような条件下で人の免疫力は落ちるといわれています。すると体内の神経節に潜んでいたウイルスは再び活性化し、神経を伝わって皮膚に到達し発症します。発疹は神経に沿って帯状にできることから、帯状疱疹といわれます。

このように生活習慣の乱れや、体調不良、様々な理由による免疫力の低下が発症の原因であると考えられています。

帯状疱疹になると、最初から帯状の発疹が出るわけではありません。多くの場合、最初は発疹の出る数日前から体の一部にピリピリ・チクチクした痛みを感じます。この時点では、なかなかご自身で気づくのは難しいかもしれません。その後、痛みが強くなり激痛を伴うものに変わっていきます。そして、帯状疱疹の特徴である水疱がからだの片側だけに帯状に発生して、激しい痛みを伴います。

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