緊急事態宣言が出た「サル痘」今の重要論点3つ ウイルスに残る謎、ワクチンや薬も不足

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サル痘のワクチンに並ぶ人々
緊急事態宣言が発出されたカリフォルニア州では、サル痘のワクチンに長い列ができている(写真:David Paul Morris/Bloomberg)

かつてはアフリカ固有の比較的マイナーなウイルスだったサル痘が世界的な脅威へと発展、75カ国で2万人を超える感染者を出していることから、世界保健機関(WHO)は「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言せざるをえなくなった。

低下する「封じ込め効果」

7月28日には、ニューヨーク州とサンフランシスコ市が緊急事態宣言を発出。しかし、アメリカ全土の感染者が5000人に迫り、専門家が封じ込め効果の低下を警告する中でも、連邦政府の保健当局は緊急事態を出すには至っていない。

その理由の1つは、サル痘は新型コロナウイルスと違って「既知の敵」であることだと当局者らは言う。医師たちはこのウイルスがどのように広がるかを理解しており、検査手段やワクチン、治療法もすでに存在するというわけだ。

ところが、研究の蓄積が示すのは、もっと複雑で厄介な実態だ。このウイルスはいくつかの重要な点がわかっておらず、その挙動も、アフリカで散発的に流行していたころに確認されたものと完全に一致するわけではない。

科学者たちは今、大急ぎでウイルスの解明を進めているが、中でもとくに重要な論点が3つあり、その答えによってサル痘をいかに早急に食い止められるかが決まってくる(もっとも、このサル痘がそもそも食い止められる類いのウイルスであれば、の話だが)。

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