「若手もバリバリ活躍できる会社」という欺瞞 甘い「まゆつばコピー」に騙されてはいけない

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私は、タイプ①の人気大手が「若手もバリバリ」と語ることに、かなり嫌悪感を覚えています。そうやってだましてまで、生きのいい学生が欲しいのかと。

そんなことをしていたら、入社後に夢が幻となり、早期退職する人が続出するでしょう。それよりは、ゆっくりじっくりキャリアを形成するよさ、30代後半でもまだまだ成長していける奥の深さなどを真剣に説いて、そうしたキャリアに納得する若者を採用するほうがいいと、常々話しています。実際、そういう正攻法を取る会社も増えてきてホッとしているところです。

タイプ② 人によって早い段階から成績に差がつく仕事

2つ目は、知識や経験は1〜2年も積めば十分で、それよりも、個人のキャラクターや特性が重要である仕事です。このタイプの場合、その業界との相性がいい人なら、早々に頭角を現すことができるでしょう。「2年目に全社MVPになった!」人が現れたりするのが、このタイプの仕事ですね。

こうした仕事の場合、できない人は、何年経験を積んでもあまり業績が上がらず、できる人は早くからすごくできます。それも、トップの人とできない人では、3倍も4倍も業績に差がつきます。ただし、トップになれる人は文字通り少数で、多数の人は「できない」ほうに入るのが現実です。こういう仕事では、「あいつ、若いのにすごいなぁ」という声が漏れがちです。

このタイプの仕事には、証券セールス、外資系生保の営業、不動産営業、リフォーム営業などなど、ハードな営業が基本となる仕事が多く含まれます。人材ビジネスやeコマースなどもここに分類されるでしょう。これらの仕事には、そもそも、10年もかけて覚えるほどの専門知識は必要ありません。だから人によっては、すぐに業績が上がるのです。

ただ、誰も彼もというわけにはいきません。エースだなんだとちやほやされるのは、せいぜい入社同期のうち1〜2割の「勝ち組」だけです。あとは、長期間勤続しても業績が好転していきません。そのため会社は、勝ち組の人たちには残ってほしいと考えますが、それ以外の大多数には長く勤めてもらわなくていいと考えがちになります。なぜならば、彼らが辞めたところで、次に入った人が1〜2年もすれば、いっぱしに業績が上がるようになるし、その中には、また少数の勝ち組が出てくるのですから。

結果的に、このタイプの仕事の会社では顕著な傾向が現れます。まず、勝ち組。会社は、彼らにはずっと会社にいて欲しいので、高年収を用意し、昇進も早くさせます。「20代マネジャーで1000万円!」という勝ち組も比較的多く出現し、こうした人たちが広告を飾るために、裏事情を知らない学生たちは「あこがれ」を抱いてしまうのです。

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