実際に申請が通るとは思っておらず、正直アテにしていなかったので、本当にありがたかったです。アルバイトで奨学金と同じ額稼ぐためには、どれほど働かなくてはならないのか、親の仕送りがどれほど必要なのか……そういったことを考える必要もなくなり、学業に打ち込めるようになりました」
採用されたことに驚いた花田さんだったが、「大学のポータルサイトだけで40〜50もの企業や財団が給付型奨学金の募集をしているのなら、ほかにももっと選択肢があるのでは?」と考え、自主的にリサーチを行うように。
結果、3年時からは別の財団の給付型奨学金を給付してもらえることになる。法学部生の新3年生10名を対象とするもので、こちらは2年間で合計96万円に達した。2つ合わせて、大学在学中の給付総額は168万円になる計算だ。
奨学金といえば日本学生支援機構の貸与型を想像しがちだが、企業や財団・大学・地方自治体などが独自に提供している給付型奨学金も多数存在している。
だが、給付型奨学金にも、問題点・課題は存在する。大きく分けて3つほどあるだろう。
②各奨学金ごとに申請をしないといけず、応募に手間がかかる
③募集人数が少なく、給付のハードルが高い
2022年現在では「ガクシ―」のような、給付型に特化した奨学金情報サイトも登場しており、情報収集はしやすくなってきているが、それでも応募作業に時間がかかる現状は残っている。
「申請書はそれぞれフォーマットも、記載事項も違います。使い回すわけにもいかないので、メモしておいた志望動機をそれぞれの申請書に合うような形で書き換えるのですが、不採用だと作業は無駄になってしまいます。
私の場合、月額6〜8万円の給付金額が高いものも応募しましたが、全然通りませんでしたね。また、募集条件がとくになく、『大学生なら誰でも申請可』という具合の地元の新聞社の給付型奨学金も通りませんでした。その結果、応募要件や募集人数・給付金額を確認したうえで、受かる見込みがあるところに出すようになりました。
幸か不幸か、コロナで飲食のバイト先が休業していた頃だったので、私は空いた時間を活用することができましたが、それでも申請手続きは複雑かつ手順が多くて、時間も労力もかかりました」
苦学生ほどリサーチは大変になる
この「ただでさえ学業に忙しい真面目な学生ほど、必要な情報を調べる時間がない」というジレンマは、奨学金に限らず、授業料免除の申請にも当てはまる。花田さん自身、部活動や大学受験でいっぱいいっぱいだった高校3年時にはそういったリサーチまで考えられず、結果、大学の授業料免除の制度に申し込んでいなかったという。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら