給付型奨学金「170万円」大学生が教えてくれた事 「正直恵まれすぎている」彼は社会に感謝を語る

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「とある大企業のお膝元なこともあり、周囲の友人は親がその会社に勤務していて、比較的裕福な家庭が多い印象でした。そんななか、自分の実家はあまり経済的に余裕がなく、『うちにはそんなにお金ないよ』と聞かされて育ってきました。

私自身、歳の近い2人の弟妹が4年制大学への進学を考えていたこともあり、そうなると家計の負担が大きくなることは目に見えていたので、受験前から『奨学金を借りることになるだろう』と思っていました」

家族思いの花田さん。プライバシーの手前、実際の大学名は記載できないが、国公立大学に限定して受験勉強に励み、現役で関西にある国公立大学に合格するほどの、頭脳の持ち主である。

「両親は『大学のことはよくわからん』とは言っていましたが、さすがに驚かれましたよね。当初は入学金も奨学金で賄う予定だったのですが、ありがたいことに両親が『必要な分は出すから、今は借りなくてもいいよ』と言ってくれて、入学金と1年生の分の授業料は出してもらったんです。当時、父親は再就職先が決まったばかりの状況で、家族のためにがんばってくれているタイミングだったので、今でも本当に感謝しかないです」 

こうして大学に入学した花田さんは、地元を離れてひとり暮らしを始めた。

「受験直前の時期に、大学周辺で物件を探しているときに、大学の寮の存在を知りました。家賃の桁がひとつ違うので『もうここしかない!』と思いました。そこは年間の寮費が、光熱費・インターネット料金込みで6万円程度と、とにかく破格なんです。学生寮の中に食堂があるので、1000円あれば1日3食お腹いっぱい食べられます。

まあその分、16畳の部屋を4人で共有するわけで、リモート授業が被ったときは、室内で2人同時に発言すると聞き取りにくいなんてことはありましたけど……でも、家賃と食費を抑えられた結果、今ではアルバイトも飲食店と弁護士事務所に、週2回通うだけで十分ですし、学部や学年、国籍も異なるたくさんの寮生と仲良くなることができ、楽しい共同生活を過ごせています」

2年から給付型奨学金をもらえることに

コロナ禍真っ只中にもかかわらず、聞く分には楽しい学生生活を送っている花田さんだったが、それでも親に任せている学費の負担は気になっていた。そんな中、冒頭で紹介した給付型奨学金の存在を知ることになる。

「2年生の時に、地元(大学のある地域)の信用金庫から、給付型奨学金を給付してもらえることになりました。私が通っている大学の2年生3名を対象にしたもので、毎月2万円、年間24万円を卒業するまで、合計72万円です。

次ページ想定外の「給付型」で学業に打ち込めるように
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