バーバリーを失う三陽商会、どこへ行くのか 半世紀にわたる関係が終了、赤字転落濃厚

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新ブランドのマッキントッシュロンドンについて、「当初想定より多くの売り場を確保できた」と杉浦昌彦社長は述べた(撮影:今井康一)

現在、「バーバリー・ブルーレーベル」「バーバリー・ブラックレーベル」の売り場は合計で約150あるが、2015年7月以降、そのほとんどを「クレストブリッジ」が継承できる見通し。ただ、ブランド名の変更などが響き、売り上げは8割程度まで落ちる想定だ。

「クレストブリッジ」のライセンス契約期間は3年で、その後の更新についてはバーバリー社との協議で決まる。契約更新ができるかについては「今後の販売状況にかかっている。良ければ継続できる」(杉浦社長)という。

中期的には勝算もある。「クレストブリッジ」では、これまでバーバリー社との契約で制限されてきたネット販売や雑貨の展開も可能になる契約に変更されたからだ。特に雑貨に関しては、アパレル市場全体が停滞する中、各社が売り上げを伸ばしている分野で期待は大きい。「切り替え直後は落ち込むが、数年後には今の水準を超えたい」と杉浦社長は意気込む。

2016年に赤字転落だが、資本には余裕

三陽商会は昨2014年5月に中期経営計画を発表。1年を通してバーバリーを販売できなくなる2016年12月期は、営業損益で20億円の赤字転落を想定している。

これから1、2年は変化があまりに激しく、現時点では、合理的な根拠をもった業績予想を立てることは難しい。マッキントッシュロンドンとクレストブリッジが本格的に立ち上がってくる2015年冬から2016年春にかけて、どれだけ日本の消費者に受け入れられるかを見極めなければならない。その結果次第で、上下どちらにも業績予想から大きく乖離する可能性がある。

これから訪れる激変に対処するため、三陽商会はすでにコスト構造の見直し、財務体質の改善などの手は打ってきた。2013年6月には当時の従業員数の2割弱にあたる270名の希望退職を実施。有利子負債の削減も進め、2014年12月末時点で自己資本比率は59.8%と前期比3.7ポイント向上。また、主に営業キャッシュフローの収入により、現金及び現金同等物残高は274億円と、前期に比べ76億円上乗せしている。

バーバリー剥落のダメージを最小限に食い止め、新ブランドをいかに成長させていくか。これら潤沢なキャッシュを攻守へ有効に使うことができるかが、三陽商会の命運を決めることになりそうだ。

藤尾 明彦 東洋経済 記者

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ふじお あきひこ / Akihiko Fujio

『週刊東洋経済』、『会社四季報オンライン』、『会社四季報』等の編集を経て、現在『東洋経済オンライン』編集部。健康オタクでランニングが趣味。心身統一合気道初段。

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