バーバリーを失う三陽商会、どこへ行くのか 半世紀にわたる関係が終了、赤字転落濃厚
アパレル大手の三陽商会にとって、今2015年12月期は社運がかかった勝負の期となる。1970年以降、約半世紀に渡って続けられてきた英国バーバリーブランドの製造・販売ライセンス契約が今年6月に終了、三陽商会の屋台骨を支えてきた基幹ブランドを失うからだ。
三陽商会は2月13日に今2015年12月期の業績予想を発表、売上高は前期比13.5%減の960億円、営業利益は同68.7%減の32億円まで縮小する見通しだ。
営業益利益を上期と下期で分けると、上期は30億円、下期は2億円まで急縮小する。これは上期(6月)までバーバリーを販売できるが、下期からはできなくなるため。バーバリーの穴埋めのため、8月からは英国ブランドであるマッキントッシュロンドンを新たに投入するが、バーバリーのブランド力や知名度には及ばず、業績の悪化は避けられない。
7割の売り場を継承する「マッキントッシュ」
今回の決算発表の前に最も注目されていたのは、約350あるバーバリー売り場をマッキントッシュロンドンがどれだけ引き継げるかという点にあった。杉浦昌彦社長は「現時点で240~260と約7割の売り場を確保できる見通しだ。昨2014年5月にライセンス契約の終了を発表した時点で200程度と予想していたが、その想定は上回った」と述べた。
だが、マッキントッシュロンドンを立ち上げる際には費用が先行する。売り場施工費など全体で30億円を計画しており、これを特損計上するため、今期の純利益は前期比98.4%減の1億円とゼロ圏に沈む見通した。
バーバリーに関しては、派生ブランドとして三陽商会が1990年代に独自に立ち上げた「バーバリー・ブルーレーベル」「バーバリー・ブラックレーベル」もライセンス契約の内容が変更される。バーバリーのデザインを象徴するマイクロチェック柄は継続使用できるが、「バーバリー」の名称やロゴは使うことができない。
2月13日には後継ブランドの新名称「ブルーレーベル・クレストブリッジ」「ブラックレーベル・クレストブリッジ」が発表された。パリコレクションなど海外を拠点に活躍するファッションデザイナーの三原康裕氏を迎え、「英国らしさ」をブランドコンセプトとして打ち出していく。
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