ピアニスト、指揮者、社長、反田恭平が開く新境地 「クラシック音楽をビジネスとして成功させる」

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反田恭平氏はショパン国際ピアノコンクールに出場すること自体が「リスクだった」と振り返った(撮影:梅谷秀司)(撮影協力:スタインウェイ&サンズ東京)
「日本で最もチケットが取れないピアニスト」。そう言われ続けてきた反田恭平氏。2021年に挑んだ大舞台、世界3大音楽コンクールの1つ、「ショパン国際ピアノコンクール」で、日本人としての過去最高位、2位入賞を果たした。
ピアニストだけでなく、起業家の顔も持つ。2021年5月には、若手演奏家で構成されるジャパン・ナショナル・オーケストラ(JNO)を株式会社化し、社長に就任している。コロナ禍の2020年4月、クラシック界としては最速で有料ライブ配信コンサートを開催し、その行動力が注目を集めた。
今後は指揮者としての活動にも力を入れるという。この夏に自身初の自叙伝エッセイ『終止符のない人生』を刊行した反田氏。異例づくしのピアニストは今、何を考えているのか。
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本気で1位を狙ってコンクールに挑んだ

――ショパン国際ピアノコンクールでの日本人の2位入賞は世界的なピアニストである内田光子さん以来51年ぶりのことです。

コンクール後、世界が変わった。海外でも日本でも、多くの方に注目してもらえてありがたいです。

長い時間をかけて準備し、心身を整えて臨みましたが、1次予選が始まってからは特有の空気の中で、ただ必死でした。コンクールではみんなが1位を狙っていくし、もちろん僕もその一人。でも、それが狙って取れるようなものではないことは理解していました。

だから、子どもの頃からの夢だったファイナル(本選)の舞台で、オーケストラと一緒に僕のいちばん好きな「ピアノ協奏曲第1番」を弾けて幸せでした。ポーランドの聴衆からもらった「最高のショパニスト」という賛辞は自信につながった。今は2位という結果に満足しています。

【ショパン国際ピアノコンクール】
コロナ禍で1年延期となり2021年に開催された今回のコンクールでは、世界中から過去最多の500人以上が応募した。映像審査通過者のうち151人が2021年7月の予備予選に参加し、そのうち78人と予備予選を免除された9人の合計87人が同年10月の1次予選に進んだ。以降もラウンドごとに人数が約半分に減っていく。1次から3次予選と本選は10月3日~10月20日に行われた。

 

――コンクールのために、どんな準備をしたのですか?

2017年からポーランド・ワルシャワのショパン音楽大学に留学しました。マズルカやポロネーズといった民族舞踊への理解を深めるには、現地で学ぶことが重要と考えたからです。

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